「復帰と言うよりも初参戦」、18年ぶりのWRCに向けて動き出したトヨタ:モータースポーツ(2/2 ページ)
トヨタ自動車は東京都内で会見を開き、2016年のモータースポーツ活動計画を発表した。2016年は、18年ぶりの参戦となる2017年の「FIA 世界ラリー選手権(WRC)」に向けた準備の1年となる。また、「FIA 世界耐久選手権(WEC)」には新開発のハイブリッドシステムを搭載した「TS050 HYBRID」で挑む。
WECは新開発のハイブリッドシステムで挑む
WECには新開発のハイブリッドシステム(THS-R、TOYOTA Hybrid System-Racing)を搭載したTS050 HYBRIDで挑む。THS-Rはトヨタ自動車の東富士研究所で開発した。新しいエンジンと容量を増やして車両の前後に搭載するモータージェネレーターを組み合わせる。四輪回生/力行システムも改良した。TS050 HYBRIDの車両はTMGで製作中で、実車テストも順調に進んでいるという。また、東富士研究所では2017年参戦用のハイブリッドパワートレーンが完成し、台上テストを実施している。
レース活動で得たハイブリッドシステムの先進技術は量産モデルで活用する。2015年までのWEC参戦車両「TS040 HYBRID」の知見は新型「プリウス」で生かされている。「参戦車両とプリウスの部品は違うものだ。過酷で制約のあるレース環境の中で、勝つためにクルマを走らせた工夫と経験が量産車の開発で生きている」(TMG 社長の佐藤俊男氏)。
トヨタ自動車 専務役員の嵯峨宏英氏は「高価な部品を使えば強いクルマに仕上がるのはレースも量産車も同じだが、どちらもコストには限りがある。高い部品を使えないから勝てないと思うのは知恵が足りないだけの話だ。いいクルマを作るという目標の下で苦戦する経験が糧になる」とレース活動で得られる収穫について述べた。
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