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モデリングを成功させるために――持続可能なモデリングを目指してプロジェクトを成功させるモデリングの極意(6)(6/9 ページ)

今回はモデリングで失敗しないだけでなく、さらにモデリングを成功させ、継続するための方法を探ります。失敗しないコツが盾であるならば、成功と持続のコツは矛に相当しますので、これらを学んでモデリングを持続可能(sustainable)なものとしていきましょう。

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継続的活動――持続可能なモデリングを目指して

 モデリングの成功、つまり継続的にモデリングの目的を達成し続けるためには、継続的な活動が欠かせません。この継続的な取り組みこそが、私たちの目指すものです。一時の燃えさかる炎のような活動では駄目で、川の流れのように悠久の活動が必要です。モデリング活動の運用も育成も教育も評価もリファクタリングも、このように継続して活動していくことが必要です。ここでは継続的な運用、評価、リファクタリングを紹介します。

継続的運用

 モデリングの運用を継続的に行う必要があります。このためにはモデル図の収集(登録)・検索・変更管理などを行う仕組みが必要です。継続こそ力です。継続こそモデリングです。モデリングは継続してこそ、大きな効果が出るものです。

 そしてこの仕組みを用いてモデリングの運用サイクルを回す必要があります。これには運用規則と一定のコストが必要になってきます。さらにやる気を持続させる必要もあります。図7にモデリングの継続的運用のサイクルを示します。 このサイクルの各活動について以下で紹介します。

図7. モデリングの継続的運用サイクル
図7. モデリングの継続的運用サイクル

(1)モデル図の登録

 本来、モデル図は適当な抽象化がなされているので、プログラムコードよりも再利用がしやすいものです。しかし実際のモデル図ではうまく抽象化されておらず再利用がしにくいものが多くなっています。このため、再利用することを考慮したモデル図に変更してから登録することになります。ここで一定のコストが必要になりますが、将来のためには必要なコストです。ここでは抽象化のためのプリエディットが必要になります。

(2)モデル図の分類

 モデル図の収集と検索を効率的に行うためには、モデル図の分類が重要になります。再利用をするときに効率よく探せる仕掛けが必要で、そのために分類して、登録する必要があります。分類・検索は図書館コードのような分類方法から、キーワードだけ、全文検索で行うなどの各種の方法があり、これらを1個または複数使うことになります。

 どの分類がいいかどうかは、各組織で扱うモデル図の対象に依存します。多種多様のソフトウェアプロダクトを作っている組織では、モデル図の分類はどうしても図書館的にならざるを得ず、結局はキーワード検索または全文検索に頼ることになるでしょう。登録するモデル図が少ない間は次に紹介する一覧表示だけでも十分かも知れません。

(3)モデル図の一覧表示

 求めているモデル図を検索するときは通常の検索で見つける方法が普通ですが、それよりもモデル図の(絞り込んだ)一覧を表示して、そこから目視によって見つけることも多くあります。このようにモデル図の一覧表示は検索において重要な役割を果たします。

 一覧表示ではモデル図の説明は、1行以内で記述される必要があります。この1行以内の記述には情報量の小さい情報や無意味な情報を入れず、端的で検索される用語を入れるようにします。例えばアーキテクチャモデリングでは「xxx」のような具体的なシステム名や「3階層」などのようなアーキテクチャが分かるようにします。

(4)モデル図の検索

 再利用や参照するためのモデル図を検索するときは、登録者がどのようなキーワードを選んだかを想像して、そのキーワードで検索するようにします。ネット書店で本を検索するときと同じ感覚です。

 またキーワードが出せないときは、モデル図の一覧表示から目視で探し出します。このときのコツは流し読みです。印象に残るものがあれば、詳細を見て、求めているものかを確認します。本屋で自分の読みたい本を探すときと同じ感覚です。

(5)モデル図の再利用

 モデル図を再利用するためには、そのモデル図を理解する必要があります。もしそのモデル図に不明な箇所が3カ所以上あるときはそのモデル図の利用は諦めた方がいいでしょう。そのモデル図が悪いのか自分の読解力が悪いのかは別にして、再利用にはコストはかかり過ぎます。2カ所までならその部分を読み解くようにしてください。これくらいのコストは必要になります。

 またモデル図をそのまま再利用できることは少ないので、変更する必要があります。これも必要なコストになります。そのまま無理して元のモデル図を使うことは避けた方がいいでしょう。変更したモデル図は、元のモデル図のバリエーションとして、登録しますが、このときに差分を明示することが重要になります。

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