モデリングで失敗しないために――失敗から学ぶモデリングの実践的なコツ:プロジェクトを成功させるモデリングの極意(5)(1/10 ページ)
モデリングを失敗しないためには、失敗の原因と失敗しないためのコツを知ることが肝要です。今回は失敗しないための実践的なコツを紹介します。
「モデリングで失敗しないために」――今回はモデリングで失敗しないためのコツを探っていきましょう。モデリングで明らかに失敗しているプロジェクトがありますが、こうならないためにはどうすればいいのでしょうか。モデリングをどうすれば良かったのでしょうか。モデリングのやり直しをするとき、どうすべきだったのでしょうか。
そこで今回はモデリングで失敗しないための実践的なコツを紹介します。ここでは失敗しないための多くのコツを学んでください。またモデル図はどんなものが使われていて、活用状況はどうなのかも見ていきます。
はじめに
連載の第1回と 第2回ではモデリングの目的や手法、ツールを見てきました。続く第3回ではUMLやSysMLの使いにくいところや工程別のモデリング、アジャイル開発との関係を見てきました。そして前回の第4回ではモデリングの失敗例とその直接的な原因を探ってきました。第5回となる今回は、前回紹介したモデリングの失敗例とその直接的な原因をベースにして、モデリングで失敗しないための対策を学んでいきます。
最初に前回見てきたモデリングの失敗の直接的な原因がなぜ起こるのか、もう1段階深く考察してみましょう。そこからモデリングで失敗しないための解決の糸口が見つかるでしょう。次にモデリングで失敗しないための様々なコツを紹介します。このコツの中には小さいテクニックから大きな思想的なものまであります。
最後にモデリングの利用状況を紹介します。ソフトウェア開発でどんなときにどんなモデリングをしてどんなモデル図が描かれ、その活用状況がどうなっているかの利用状況を紹介します。
モデリングの失敗例と原因のまとめ
前回の第4回の記事で紹介したモデリングの失敗例と、その直接的原因をここに再掲します。まず失敗例として以下の8個を紹介しました。詳細は前回の記事を参照してください。
(a1) 蜘蛛の巣のモデル図
(a2) 集中型のモデル図
(a3) 追跡できないモデル図
(a4) 矛盾があるモデル図
(a5) 効率が悪いモデル図
(a6) 仲間内だけのモデル図
(a7) 相反する目的を持つモデル図
(a8) モデル化と抽象化を勘違いしているモデル図
前回の記事では(a4)の矛盾があるモデル図では複数の例を紹介しましたので、合計10個以上の失敗例を紹介していました。そしてこの失敗例の原因としては、前回の記事で以下を挙げました。
(b1) 無目的モデリング
(b2) 曖昧モデリング
(b3) 評価なしモデリング
(b4) 無理やりモデリング
(b5) 一回こっきりモデリング
(b6) 駄目モデラー
(b7) 駄目ツール
(b8) 駄目教育
(b9) 駄目プロセス
これらの原因は連載記事の第1回目から言及していることも含まれていて、また多くの人が認めている原因でしょう。これらの直接的原因は「分かっちゃいるがどうしようもない」という類いのものです。これらの原因に対する特効薬があれば、すぐにでも試してみたいという声もよく聞きます。つまりこれは逆に特効薬がないことを残念ながら示しています。
そこでここでは、これらの失敗の原因がなぜ出てしまったのかをもう一段深く追求していきます。なぜなぜ分析の2段目になります。例えば、なぜ無目的モデリングが行われてしまったのか、その原因は何かということを考えてみます。そしてその対策=コツを紹介していきます。
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