高齢化で急増する高速道路の逆走、「逆走できないクルマ」で対応へ:安全システム(2/2 ページ)
国土交通省は「第1回高速道路での逆走対策に関する官民連携会議」を開いた。国内自動車メーカー8社や車載情報機器関連のサプライヤなど民間企業総計39社と、省庁の担当者が参加。会議の目標は、高齢化によって急増する高速道路の逆走による事故を2020年までにゼロにすることだ。道路やインフラだけでなく、クルマそのものからも逆走対策を講じる。
車載情報機器とETC車載器の活用
当日は、日産自動車とホンダ/本田技術研究所、三菱電機/沖電気工業/パナソニックなどが逆走防止に向けた取り組みを紹介した。
日産自動車とホンダは逆走状態の検知とドライバーへの注意喚起機能を持った車載情報機器を市販車両に搭載している。日産自動車の車載情報機器は、分岐や合流など道路の形状を基に「逆走判定エリア」と逆走となる進行方向を定義する。車両がこれに合致して走行すると逆走と判断し、ドライバーに注意喚起する。ホンダは、高速道路上でのUターンや後退、サービスエリアやパーキングエリア内から入り口に向かう走行を検知すると逆走を警告する。
三菱電機/沖電気工業/パナソニックからはDSRC(専用狭域通信)通信対応のETC車載器と路側機を活用する提案が紹介された。逆走となる進行方向で電波を受信したETC車載器から、逆走を警告する音声を再生するものだ。
また、パナソニックは、標識を検知して逆走状態を把握するドライブレコーダーを提案した。日産自動車やホンダも、画像認識技術を逆走を知らせる標識にも検知対象を広げることで逆走防止に貢献できるとしている。ただ、逆走を警告する標識を設置する位置や形状、意匠などを統一する必要があると各社が指摘した。
高速道路での逆走対策に関する官民連携会議では、2016年3月をめどに逆走事故ゼロに向けたロードマップを取りまとめ、実現のイメージと工程を決定する。
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