2016年のCESで自動車メーカーが示唆した「自動車産業の構造転換」:2016 CES&デトロイトモーターショー2016レポート(前編)(4/4 ページ)
2016年1月、米国ラスベガスの「2016 International CES」に続いて、デトロイトで「デトロイトモータショー2016」が開催された。自動車業界の今後の方向性が示される両イベントを取材した桃田健史氏によるレポートを前後編でお送りする。前編は、自動車業界からの参加が増えているCESのレポートだ。
メイン会場ではVRとドローンが主役
1月6日から開催された、ラスベガスコンベンションセンターのメイン展示会場では、先述のトレンドウオッチでの予告通りVR関連の展示がとても多かった。VRの主役である、OlucusのブースではRiftの体験ツアーを待つ長蛇の列ができた。残念ながら、各種の取材をこなす必要があった筆者は今回Riftを体験する時間がなかった。その代わり、GoProのブースでサムスンのGear VRを体験。GoProでは、VR対応の画像撮影のために、立方体の中に6個のカメラを装備したパッケージングを展示した。
またドローンでは、中国の大手DJIが量産型「ファントム3」の他、プロフェッショナル向けの高級機器を各種取りそろえていた。フランスのParrot(パロット)は、2015年11月に発売した「Bebop2」向けとして、サムスンのGear VRと連携したコントローラを展示した。
ドローンについては今回、連邦航空局(FAA)長官のマイケル・フエルタ氏が記者会見を行い、米国国内でのドローン登録者数が18万人に達したことを明らかにした。ドローン操縦者が、ドローンの飛行可能な空域を確認できるスマートフォンのアプリ「B4UFLY」を正式に公開したことも発表した。
同アプリは、2015年6月から試験的に配布して以降、パブリックコメント期間を経て、FAAで改良を続けてきたという。ドローンについては、米国の電機/物流業界から「次世代の産業」として大きな期待が掛かっており、こうした業界から各州の選出議員を通じた、ワシントンDCの連邦議会に対するロビー活動が盛んだ。
FAAでは現在、ドローンの操縦者の視界外で飛行させるための実証試験を、民間企業に委託して全米各地で行っている。アマゾンの「プライムエア」や、Google(グーグル)の「プロジェクトウイング」など、大手IT企業による商用ドローンの早期実用化を見込んでいる。
この他、メイン会場に隣接するゲートウェイホテルなどでは、中国、韓国、台湾などのエレクトロニクス部品の小規模サプライヤがブースを並べていたが、商談に訪れる人はまばらな状態が続いていた。
筆者はCESの一般開催期間中に、サンフランシスコへ空路で移動し、テスラ工場の視察と「モデルS」による自動車線変更の試乗会に参加した。1月9日は、再びラスベガスに戻り、CES開催最終日を取材。明けて10日には、「北米国際自動車ショー」、通称デトロイトモーターショーを取材するため、デトロイトへと飛んだ(後編に続く)。
筆者プロフィール
桃田 健史(ももた けんじ)
自動車産業ジャーナリスト。1962年東京生まれ。欧米先進国、新興国など世界各地で取材活動を行う。日経BP社、ダイヤモンド社などで自動車産業、自動車技術についての連載記事、自動車関連媒体で各種連載記事を執筆。またインディカーなどのレース参戦経験を基に日本テレビなどで自動車レース番組の解説も行う。
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