トヨタの自動運転車は運転意図を乗員に説明できるようになる!?:自動運転技術(1/2 ページ)
トヨタ自動車は、「2016 International CES」のプレスカンファレンスで、人工知能技術の研究/開発を行う米国の新会社Toyota Research Institute(TRI)の体制と進捗状況を発表。TRIのCEOを務めるギル・プラット氏は、TRIの自動運転に関する研究プロジェクトの具体例も紹介した。
トヨタ自動車は2016年1月5日(米国時間)、消費者向けエレクトロニクス展示会「2016 International CES」(2016年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)のプレスカンファレンスにおいて、人工知能技術の研究/開発を行う米国の新会社Toyota Research Institute(TRI)の体制と進捗状況を発表した。
2015年11月に設立が発表されたTRIは、5年間で約10億米ドルの予算が投入される予定。トヨタ自動車は同年9月にマサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL:Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)とスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL:Stanford Artificial Intelligence Laboratory)人工知能に関する研究で連携していくことで合意したことを発表しているが、TRIの拠点は、MIT近傍のマサチューセッツ州ケンブリッジと、スタンフォード大学近傍のカリフォルニア州パロアルトに設けることになる。
TRIの主な目標は4つ。1つ目は、「事故を起こさないクルマ」をつくるという目標に向けたクルマの安全性の向上になる。2つ目は、これまで以上に幅広い層の人々に運転の機会を提供できるように、クルマをより利用しやすいものにすべく尽力する。3つ目は、モビリティ技術を活用した屋内用ロボットの開発で、4つ目は人工知能や機械学習の知見を利用した科学的/原理的な研究の加速である。
TRIのCEOには、DARPA(国防高等研究計画局)で災害救助ロボットコンテスト「DARPA Robotics Challenge(DRC)」のプログラムマネジャーを務めていたギル・プラット(Gill A. Pratt)氏が就任している(関連記事:トヨタの人工知能開発拠点に元DRCマネジャー「今度は私がバッターボックスに立つ番」)
今回は、プラット氏以外の主なメンバーや研究者が発表された。まずTRIのCOO(最高執行責任者)には、プラット氏と同様に、DARPAのLAGR(Learning Applied to Ground Vehicles)プログラムのマネジャーを務めた経験のあるエリック・クロトコフ(Eric Krotkov)氏が就任する。エグゼクティブ・リエゾン・オフィサーは、トヨタ自動車 技術統括部 主査の岡島博司氏が務める。
機械学習領域は、元ベル研究所の部門長であり、COOのクロトコフ氏と同じDARPAのLAGRプログラムのマネジャーを務めたラリー・ジャッケル(Larry Jackel)氏が研究を行う。クラウドコンピューティング領域はカーネギーメロン大学教授で元Googleロボティクス部門長のジェームス・カフナー(James Kuffner)氏、シミュレーションと制御の領域はMIT助教授のラス・テッドレイク(Russ Tedrake)氏、自動運転領域はMIT教授のジョン・レオナルド(John Leonard)氏、計算科学の領域はオーリン工科大学教授のブライアン・ストーリー(Brian Storey)氏が担当になる。
外部有識者からの助言を受けるためのアドバイザリーボードも設置する。議長は元駐日アメリカ合衆国大使のジョン・ルース(John Roos)氏、副議長は元CSIAL所長のロドニー・ブルックス(Rodney Brooks)氏が務める。ボードメンバーは、Salesforce.comのCEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏、元アメリカ合衆国海軍長官のリチャード・ダンズィグ(Richard Danzig)氏、元Walt Disney ImagineeringのR&D部門長で現在はApplied Mindsのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるブラン・フェレン(Bran Ferren)氏が務める。ミシガン大学名誉教授で豊田中央研究所の所長である菊池昇氏も加わる予定だ。さらに、TRIと人工知能研究で連携するCSAIL所長のダニエラ・ラス(Daniela Rus)氏、SAIL所長のフェイフェイ・リ(Fei-Fei Li)氏も参加する。
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