インダストリー4.0時代の制御には何が必要か、NECAがWGで活動を推進:FAニュース
日本電気制御機器工業会(NECA)は、事業領域拡大や業界の新たな変化に柔軟に対応するために、新規事業に向けたワーキンググループ(WG)活動を強化しているが、2015年4月からは「第4次産業革命」をテーマにしたWG活動を推進。制御機器の将来の方向性を模索している。
日本電気制御機器工業会(NECA)は、事業領域拡大への取り組み強化を進めているが、2015年度の取り組みとして「第4次産業革命」をテーマとしたWG活動を立ち上げ、電気制御機器にとってこれらの業界の大きな変化にどう向き合うべきかという方向性の模索を行っている。
NECAは、電気制御機器産業を核とし、同機器の産業発展や標準化などの取り組みを行う団体。1964年に任意団体として設立され、1993年に社団法人化、2012年に一般社団法人へと移行している。リレーやスイッチやセンサーなどの制御機器やFAシステムなどを対象とし、これらに関連する産業の振興や標準化、安全基準の策定などに取り組んできた。
しかし、ICTの進化やモノづくりのノウハウを他産業で活用する動きを拡大する動きが加速。その中で制御機器やそのノウハウなどもさまざま領域で利用されるようになっている。特に、ドイツのインダストリー4.0を中心に製造現場におけるICT活用が本格化の兆しを見せる中、製造現場や制御機器そのものの在り方も変化している。
インダストリー4.0は、ドイツ連邦政府が進めるモノづくり振興策で、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を含むICT(情報通信技術)を製造現場やモノづくりのプロセス全体で活用することが特徴だ。インダストリー4.0はドイツの取り組みそのものだが、これらによってもたらされる変化全般を示す言葉として「第4次産業革命」なども使われている。
電気制御機器として第4次産業革命に何ができるか
これらの動きに合わせてNECAでは2015年4月に、この第4次産業革命に対し電気制御業界がどうしていくべきかという方向性を模索する「第4次産業革命WG」を設置。電気制御業界として方針をまとめていく狙いだ。現在は、他の業界団体との交流など情報収集を中心とした活動ではあるが2016年度以降は具体的な活動に落とし込んでいくことを計画する。
この情報収集の動きの中で、見えてきた方向性の1つが「『安全』への取り組みの必要性の高まりだ」(NECA)という。IoTの普及で実現できることとしてサイバーフィジカルシステム(CPS)がある。サイバーフィジカルシステムとは、インターネットおよびコンピューティングの力(サイバー)と、実際の世界(フィジカル)を結び付けたシステムのこと。これにより、現実の世界の情報をサイバー空間に送り、コンピューティングパワーを活用して解析してフィードバックして、現実世界でより良い結果を得るというようなことが可能となる。
こうしたことが実現できれば、機械やロボットが人間の詳細な作業プログラミングなしに、自律的に作業などを行えるようになる。一方でこれらが自律的に現実世界に影響を及ぼすことを考えれば、製造現場などでの安全性は大きな課題になると見られている。NECAではセーフティアセッサ資格認定制度など機械安全などには力を入れた取り組みを進めており、あらためてIoT時代の機械の安全性確保にさまざまな取り組みを進めていく方針を示す。
これらの取り組みを具体的に形にしたのが2016年2月に開催するシンポジウムである。2016年2月8日と10日には、EUインスティテュート関西とともに「IoT/インダストリー4.0時代のものづくり安全と安全資格に関する日欧戦略的協同」をテーマとしたシンポジウムを開催。制御機器業界としてのIoTと安全性の両立を訴えていく方針だ。シンポジウムの概要については、こちらのWebサイトをご覧いただきたい。
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