日産が「ル・マン」最高峰クラスから撤退、FF方式での参戦は1年で幕:モータースポーツ
日産自動車は、2016年シーズンのFIA世界耐久選手権の最高峰クラス・LMP1への参戦を取りやめると発表した。同社は2015年シーズンから参戦していたが、1年で撤退することとなった。
日産自動車は2015年12月23日、2016年シーズンのFIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championships、WEC)のLMP1クラスへの参戦を取りやめると発表した。LMP1は、「ル・マン24時間耐久レース」などで知られるWECの最高峰クラス。同社は2015年シーズンから参戦していたが、1年で撤退することとなった。
日産自動車が参戦していたのは、LMP1の中でも、ハイブリッドレースカーが対象となるLMP1-Hybrid。2015年のル・マンで勝利したPorsche(ポルシェ)やAudi(アウディ)、トヨタ自動車が参加していた。
日産自動車は前輪駆動(FF)方式のハイブリッドシステムを採用した「革新的かつ大胆なコンセプトのマシンを開発」(同社)したものの、車両開発に注力するためWECの第1戦と第2戦は出場せず。第3戦のル・マンでは3台体制で出場したが、2台はリタイヤ、残りの1台もゴールはしたが周回数不足で完走扱いにならなかった。その後の第4戦以降は全て欠場していた。
今回の参戦取りやめについて同社は、「チームは目指すパフォーマンスを実現するために懸命に開発を続けてきたが、今回、その目標を達成することは難しいと結論づけ、より長期的なレース戦略の策定に集中することを決定した」としている。
日産自動車は、ル・マン24時間レースにおいて革新的で新しい技術を紹介する車両向けの「ガレージ56」枠を使い、2012年に「デルタウィング」、2014年に「ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」で参戦している。
ZEOD RCでの参戦の際には「LMP1復帰に向けた一環」(同社)と宣言した上で、2015年シーズンの参戦車両「NISSAN GT-R LM NISMO」を米国のアメリカンフットボール・NFLの年間王者決定戦「スーパーボウル」のテレビCMで発表するなど、意気込みは強かった。
関連記事
- 「GT-R LM NISMO」はV6ツインターボのガソリンFF、ル・マン最高峰クラスに挑む
日産自動車は、米国のアメリカンフットボール・NFLの年間王者決定戦「スーパーボウル」のテレビCMで、2015年シーズンの「ル・マン24時間レース」参戦車両である「NISSAN GT-R LM NISMO」を発表。V型6気筒の排気量3l(リットル)ガソリンツインターボエンジンとエネルギー回生システムを搭載したフロントエンジン・前輪駆動車となっている。 - ポルシェの「ル・マン」17年ぶり勝利を支えた「攻め」のマシン設計
ポルシェが1−2フィニッシュを飾った2015年の「ル・マン24時間耐久レース」。それまでのWECのレースで圧倒的な早さを記録しながら、耐久性に一抹の不安を残していたが、それをも拭い去る17年ぶりの勝利だった。後塵を拝したトヨタ自動車との違いは、「攻め」のマシン設計にあった。 - ハイブリッドレースカーが火花を散らす、今WECがアツイ!
F1と並んで、現在注目を集めている自動車レースの世界選手権がある。2012年から始まったFIA世界耐久選手権(WEC)だ。今回は、ハイブリッドレースカーだけが参加できるトップカテゴリーの「LMP1-H」に参戦しているトヨタ自動車を中心に、WECの魅力をお伝えしよう。 - アウディvs.トヨタ、2012年「ル・マン」から始まるハイブリッドレースカー戦争
アウディの圧勝で終わった、2012年の「ル・マン24時間耐久レース」。しかし、最も注目されたのは、レース結果よりも、アウディとトヨタ自動車が投入したハイブリッドレースカーの争いであろう。両社は、それぞれの思想に基づき、異なるハイブリッド機構を導入していたのだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.