M&Aの成果を示すオムロン、新規参入のロボットや産業用PCなどを披露:SCF2015(2/2 ページ)
オムロンは、オートメーション技術の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」(2015年12月2〜4日、東京ビッグサイト)において、買収を発表したデルタ タウ データ システムズやアデプト テクノロジーの製品群を披露。オムロン製品との複合提案を進めていく方針を明らかにした。また産業用PCなども新たに投入する方針を示した。
デルタ タウの高速コントローラー「PMAC」も出展
また、オムロンでは、2015年7月に米国のモーション制御機器メーカーである「デルタ タウ データ システムズ(Delta Tau Data Systems、以下、DT)」の買収を発表。DTは1976年創業のFA(ファクトリーオートメーション)関連企業。モーション制御に特化したコントローラーの専業メーカーで、世界最高水準のモーション制御を可能とするコントローラー「PMAC」を開発、製造、販売しており、高い技術開発力とシステムインテグレーション力が特徴となっている。
SCFの会場では、PMACによる高速同期制御を実演。モーション制御周期50μ秒/4軸の高速クローズドループ制御で複数のモーターを同期制御するデモを行っていた。DTについてもコントローラーなどの一体開発についてはこれからだが、システムとして組み合わせた提案は可能であり、既に共同提案などを進めているとしている。
産業用PCを新たに投入
これらの買収による製品領域の拡大に加え、新たにPLC(プログラマブルロジックコントローラー)だけでなく、産業用PCを投入する方針も明らかにし、参考出品モデルを展示した。同社はPC用の高度なCPUなどを搭載しオープンスタンダードを効果的に活用した高機能PLC「Sysmac NJシリーズ」などを展開。コントローラーの高度化に力を注いできた。
ある意味で産業用PC(IPC)と性能的には大きな違いがなくなりつつある中で「オムロンのラインアップとして、あらためて制御と一般の事務作業とを併用できるIPCへのニーズが高まってきた」(ブース担当者)とし、新たに産業用PC「Sysmac IPC」の投入を決めた。
コントローラーと産業用PCでは、「どちらが良いか」という議論が起こりがちだが、あくまでもオムロンでは「産業用PCもコントローラーもそれぞれラインアップとしてそろえていく。それぞれの利点があり、製造現場に合った機器をて提案していく」(同)としている。投入時期は未定だが「2016年前半になるだろう」(同)という。
オムロンの「ILO+S+R」戦略
オムロンでは、インダストリアルオートメーション領域におけるILO+S(インプット、 ロジック、アウトプット+セーフティ)に、R(ロボット)を加え「ILO+S+R」として、事業展開を進めていく方針を示している。今後は、これらの新たに買収した機器群や新規参入製品の同一プラットフォーム上での制御を実現し、製造業のモノづくりの工程における自動化領域の拡大を推進していく狙いだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オムロンの“標高10mのIoT”は製造現場を明るく照らすか(前編)
オムロンは「IoT時代のFA」をテーマに記者会見を開催した。インダストリー4.0などIoTの製造現場での活用が進む中、同社の考えるFAの将来像と戦略、またそれを実践する製造現場などを紹介した。前編では同社の考えるIoT戦略について、後編では製造現場におけるIoTの自社実践の様子についてお伝えする。 - オムロン「卓球ロボ」の進化が示すのは“45年前に予見した未来”
「CEATEC JAPAN」で2年連続で登場し注目を集めるオムロンの「卓球ロボット」。スポーツロボットを販売するわけではないオムロンがなぜ卓球ロボットの進化を追求するのか。同社がFA領域で実現したい将来像について考察する。 - オムロンが米国の産業用ロボットメーカーを買収、自動化領域の拡大を推進
オムロンはビジョンセンサー技術やロボット制御技術を強みとする米国の産業用ロボットメーカー「アデプト テクノロジー」を買収する。 - オムロンが米モーション制御機器メーカー買収、商品構成と顧客層を強化
オムロンは、米国のモーション制御機器メーカーである「デルタ タウ データ システムズ」を買収することを発表した。 - 特集サイト「システムコントロールフェア(SCF)2015」