真横から見た新型「プリウス」デザインの変化:車両デザイン 新型プリウス インタビュー(2/2 ページ)
トヨタ自動車が2015年12月9日に発売した新型「プリウス」はデザインにも力を入れている。横から見た姿を3代目プリウスと見比べると、新たなデザインの狙いが見えてくる。
前方だけでなく側方、後方も見やすく
広い視野の確保も新型プリウスのデザインテーマの1つだ。カウル高さを62mm下げ、室内からワイパーを見えにくくすることにより、前方の視界を広げた。前方だけでなく、斜め前や横、後方の見やすさにも気を配っている。
先代プリウスは死角を減らすため車両前側のAピラーと車両後側のCピラーに三角窓が付いていたが、新型プリウスではなくなっている。「三角窓はそこから外が見えるという安心感があるかもしれないが、実際は十分な視界ではなかった」(児玉氏)というのが理由だ。運転席と助手席の横の窓は「ギリギリまで大きくしている」(同氏)。パワーウィンドウでドアガラスを全てドア内に収納できる限界のサイズだという。また、リヤドアのガラスは、Cピラーの骨格を見直すなどして、ドライバーから見通せる開口幅を先代モデルよりも160mm拡大した。
デザインスケッチから初志貫徹
一般的な車両デザインでは、当初のスケッチが量産モデルになるまでの間に、変更や省略が行われる部位は少なくない。新型プリウスに関しては「空力特性と視界の提案が一貫して残った」(同氏)という。一方でフロントビューとリヤビューは何度もやり直した。一目でプリウスと分かるシンボリックなデザインで先進機能が人の記憶や直感で分かることを目指したデザインコンセプト「ICONIC Human-tech」の下で「Humanとtechの要素をどう見せるか議論を重ねた」(同氏)。
児玉氏は新型プリウスのデザインを振り返って「環境性能を向上し、絶対に損ねてはいけないという制約のもとでエモーショナルな表現を追求するのはとてもやりがいがあった」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新型「プリウス」から始まる、TNGAの「もっといいクルマづくり」に向けた挑戦
トヨタ自動車がTNGA第1弾となる新型「プリウス」を発表した。TNGAは単なる共通化構想ではなく同社の構造改革と人づくりであり、新型プリウスは「もっといいクルマづくり」に向けた長い挑戦の始まりと位置付ける。「乗れば良さが分かる」(同社)という自信作だ。 - 新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。 - 新型「プリウス」は目標燃費40km/lをどうやって達成するのか
2015年12月に発売予定の新型「プリウス」に搭載される新技術が発表された。JC08モード燃費40km/l(リットル)を目標に開発されている新型プリウスだが、エンジンやモーターの改良の他にもさまざまな技術を積み重ねることでその目標を実現しようとしている。 - 「NDロードスター」は「魂動デザイン」のセンター中のセンター
2012年2月発売の「CX-5」以降、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」と新世代商品の販売が好調なマツダ。その商品力を支えるデザインテーマ「魂動(こどう)−Soul of Motion」を生み出した、同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏に、魂動デザインを導入した意図や、今後のマツダデザインの方向性について聞いた。 - マツダ「RX-VISION」の車両名称が漢字一文字にならなかった理由
マツダが「東京モーターショー2015」で世界初公開した、本格スポーツカーのデザインコンセプト「RX-VISION」。同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏に、RX-VISIONでどのようなデザインを目指したのか聞いた。