マツダ「RX-VISION」の車両名称が漢字一文字にならなかった理由:車両デザイン マツダ RX-VISION インタビュー(1/2 ページ)
マツダが「東京モーターショー2015」で世界初公開した、本格スポーツカーのデザインコンセプト「RX-VISION」。同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏に、RX-VISIONでどのようなデザインを目指したのか聞いた。
マツダが「東京モーターショー2015」のプレスブリーフィングで世界初公開した、本格スポーツカーのデザインコンセプト「Mazda RX-VISION(以下、RX-VISION)」。次世代ロータリーエンジン「SKYACTIV-R」を搭載する本格スポーツカーであり、同社が世界で初めて実用化と量産に成功したロータリーエンジンに対する“夢”を形にしたクルマだ。
外形寸法は全長4389×全幅1925×全高1160mmで、ホイールベースは2700mm。極端なロングノーズと、エンジンサイズの小ささが特徴であるロータリーエンジンに由来するボンネットの低さ、そして同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏が「作りたいものをフルスイングで作った」と語る車両デザインが印象的だ。
前田氏に、RX-VISIONのデザインについて聞いたところ、第一声として出てきたのは「色っぽい、つやっぽいクルマを作りたかった。“色気”と“マシン”を研ぎ澄ましていった結果、生まれたのがRX-VISION」だと述べている。
「ブランドをけん引する強さを見せたい」
RX-VISIONは、車両名の冒頭にある「RX」にある通り、ロータリーエンジンを搭載するスポーツカーの後継モデルとなるデザインコンセプトだ。ただし、「コスモスポーツ」や「RX-7」、「RX-8」のそのまま延長線上にあるわけではない。マツダの現在のデザインテーマである「魂動(こどう)−Soul of Motion」(以下、魂動デザイン)を、進化(深化)させることも意図している。
魂動デザインは、マツダデザインの伝統ともいえる「動き」を根本に置きながら、「形に命を与える」という哲学の基で、手法という名の引き出しを使って表現の範囲を広げている。既に、「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」「デミオ」「CX-3」「ロードスター」の6車種に魂動デザインが採用されているが、RX-VISIONはこれらの「次のジェネレーション」(前田氏)を示すビジョンモデルとしての位置付けも担う。前田氏は、「ロータリーエンジンを載せたスポーツカーのビジョンコンセプトをピュアにデザインした。そして何より、ブランドをけん引する強さを見せたかった」と説明する。
RX-VISIONでは「日本の美意識」を表現したいという意図もあった。「ずっと日本の美意識を感じさせるようなものを作りたいと思っていた。シンプルな造形だが、光が当たるとドラマチックに見え方が変わっていく。そういった繊細な光の動きによる変化は、日本の美意識につながると考えた」(同氏)という。
RX-VISIONのボディカラーは、魂動デザインのイメージカラーとして親しまれている「ソウルレッド」と同じく赤色だ。しかしソウルレッドをそのまま用いるのではなく、エネルギッシュな鮮やかさと深みのコントラストを強めた、特別な赤色を採用しているということだった。
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