「もう一度、切削の良さを伝えたい」――ケイズデザインラボが自社ブランドの切削加工機を発表:ワイドな加工サイズを実現(2/2 ページ)
ケイズデザインラボは、自社ブランド製品として初となる切削モデリングマシン「3D-Mill K-650」を、岩間工業所と共同で開発していることを発表した。
岩間工業所のチャレンジ
同製品の設計には、プロ仕様の切削加工機を手掛ける岩間工業所の高い技術力やノウハウが随所に生かされている。今回、操作用パネル部分にはWindows OS搭載のパネルコンピュータを採用し、制御機にはファナック製ではなく岩間工業所オリジナルのコントローラーを用いている。「実は、操作用パネル部分にWindows OS搭載のパネルコンピュータを採用したのは今回が初めてで、われわれにとっても大きなチャレンジだ。従来はFA機器向けのパネルコンピュータを使うケースが多いが、カスタマイズ性を重視してWindows OSを選択した」と岩間工業所 代表取締役 岩間正俊氏は説明する。
今回、岩間工業所オリジナルのコントローラーと、Windows OS搭載のパネルコンピュータを採用したことにより、ユーザー自身によるオリジナルアプリケーション開発も可能になるという。細かな仕様などはまだ検討中とのことだが、API(Application Programming Interface)のようなものをユーザーに提供することで、モバイル端末などと連携させて遠隔地から加工状況を確認したり、加工完了の通知を受けたりもできる。また、ランプを点灯させたり、エアブロー機能を遠隔地から作動させたりすることも可能になるという。
この構想はオリジナルコントローラーを手掛ける岩間工業所の協力なくして実現できない。「製品化の際、どの程度コントローラーの仕様を公開するかはまだ検討中だが、岩間工業所と相談しながらユーザー自身がカスタムできるオープンな切削加工機にしていきたいと考えている」(原氏)。
ハードだけでなく、ソフトウェア開発にも意欲
過去CAMの開発も手掛けた経験のある原氏は、「将来的には、ケイズデザインラボとして自社開発したCAMソフトを利用したいと考えているが、まずは切削加工機を世に送り出してから、CAMソフトを含む周辺ソリューションについてしっかりと検討していきたい」と説明。
また、初となる自社ブランド製品の今後について、原氏は「当社の『D3テクスチャー』においても要求されるパターンがより精密になってきており、3Dプリンタでの試作に限界が来ている。こうした背景からも高精度な微細加工が行える切削加工機が必要と感じていた。今後は、製品のシリーズ展開も視野に入れている」と意気込む(関連記事:3Dデジタル技術を活用した表面加飾のメリット)。
最後に、現在公開されている製品仕様を示す(正式リリース時点で変更の可能性もある)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3Dデジタル技術を活用した表面加飾のメリット
「INTERMOLD 2015(第26回 金型加工技術展)」の特別セミナーに、ケイズデザインラボ 代表取締役 社長の原雄司氏が登壇。同社の「D3テクスチャー」の取り組みをベースに、3Dデジタル技術を活用した表面加飾のメリットや、従来工法との違いなどについて紹介した。 - 3DプリンタやCADが学べる「3D道場」とは? ――面白チョコレート作り実演も
ケイズデザインラボが、3Dスタジオ「3DDS in CUBE」のオープンを発表した。そこで展開する講義「3D道場」では、3Dプリンタや3次元CADなど3次元デジタルツールを使った実践的なモノづくりが学べる。発表会中、3次元デジタル技術を駆使した面白チョコレートづくりも紹介。 - ツタヤで3Dデータが入手可能に? 3Dデジタルサービス事業で3社が業務提携
ケイズデザインラボは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、アマナの2社と、3Dデジタルサービス事業における業務提携を発表した。2014年11月より、3社共同で3次元(3D)ツールを活用したセールスプロモーションや、3Dデータの配信サービスなどを提供する - 3次元切削加工機の新モデル「MDX-540S-AP」の国内販売開始
ローランド ディー.ジー.(ローランドDG)は、3次元切削加工機のオールインワンパッケージモデル「MODELA PRO II MDX-540S-AP」の国内販売を2015年10月7日から開始する。 - ローランドDGの小型切削加工機「SRM-20」に隠された“ヒミツの扉”
ローランド ディー. ジー.は、2014年11月23〜24日に東京ビッグサイトで開催された「Maker Faire Tokyo 2014」に出展。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)との共同研究として、SRM-20の“ヒミツの扉”を活用した新しいデジタル工作機械のカタチを提案するデモを披露した。