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ET2015を振り返って感じた、組み込み開発の高度化電子機器設計/組み込み開発 メルマガ 編集後記

IoTは「つながる」だけではなく「どんなメリットが生まれるか」が大切。では組み込み開発の視点では、どんな技術や要件がこれから求められるでしょうか。

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 この記事は、2015年11月24日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたMONOist/EE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。


 2015年11月18日〜20日の3日間、「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」が開催されました。今回は新たにIoT総合技術展「IoT Technology 2015」を併催しており、会場内では「IoT」の文字を多く見つけることができました。

 組み込みとIoT、この2つはもはや珍しくない取り合わせと言え、前回、前々回のETでも(IoTという言葉を使う使わないは別として)各社が“つながる”ことを強調したデモを数多く行っています。では今回のET2015では何が変化したのでしょうか。

ET2015の会場
パシフィコ横浜で開催された、ET2015の会場

 会場を歩くと気付くのが、「IoTを実現する」展示ではなく、「IoTを利用する」展示が増えたことです。「産業用バーコードスキャナをIoT化してクラウドで管理する」「ゲートウェイとクラウド上の変換ソフトを用いて、PLCをメーカー問わずで一元管理」といったように、さまざまなモノがインターネットで接続される(Internet of Things)ことで、どのようなメリットを提示できるかに、展示の主眼は移りつつある印象でした。

 導入側からすればIoTによってどのようなメリットがあるかがポイントであるため、例示の増加は歓迎されるでしょう。技術的な成熟を加味すればこの傾向は続くはずで、次回のETではより多くの具体的な導入メリット提示が行われるはずです。ただ、「具体的なメリット」を各社が多く例示するための仮題も透けて見えます。あまりにも自由度が高いため、最適解が見えにくいのです。

 監視カメラを例にしてみましょう。「監視カメラで撮影したデータをクラウドにアップロードして防犯に役立てる」という用途に需要がありそうなことは、容易に想像できます。ただ、標準的なカメラを複数台用意するか、高解像度カメラ1台でまかなうか、映像データの圧縮伸長はカメラ側で行うかゲートウェイで行うのか、レイテンシの確保はどこまで行うべきかなど検討すべき課題は多く、全て顧客の要求に従うとなるとそれは受諾開発に近づき、オープンな技術を組み合わせたIoTの姿からは離れたものになってしまいます。

 このように組み込みシステムへ求められる要求仕様へのきめ細やかな対応と、基本的にオープンな技術を用いることが念頭に置かれているIoTの相性は必ずしもよくありません。

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