「IoTリファレンス」提供でデータ活用に注力、インテルのIoT戦略
インテルがIoTプラットフォームの新たなリファレンスとプロセッサを発表。IoT構築の複雑性低減を狙う。
インテルは2015年11月17日、同社IoTプラットフォームの新たなリファレンスアーキテクチャとIoTのエッジならびエンドデバイス向けプロセッサ「Quark D1000」「Quark D2000」「Quark SE SoC」を発表した。
同社は2014年12月に同社製品の組み合わせによって構築されたセキュリティとネットワーク接続性を一体化したIoT向けのリファレンスモデル「インテル IoT プラットフォーム」を発表しているが、新たなリファレンスアーキテクチャではモノ(Things)、ネットワーク、クラウドの3分野においてリファレンスを示し、複雑性の軽減、セキュリティの確保、信頼性の高いデータ共有などを図る。
同社はSAPと共同で、SAPのクラウドプラットフォーム「SAP HANA Cloud Platform」(以下SAP HCP)を活用した企業向けのIoTソリューションを開発する予定であり、同日に開催された同社のIoTへの取り組みや事例を紹介するイベント「Intel IoT ASIA 2015」では同社IoT事業本部 副社長 兼 IoT戦略、テクノロジー・オフィス本部長のローズ・スクーラー氏からQuarkを搭載したウェアラブルデバイスにCoreプロセッサ搭載のゲートウェイ、WindRiver Helix Device Cloud、SAP HCPを組み合わせたスマートファクトリーのイメージが紹介された。
「Quark D1000」「Quark D2000」はIoTのエッジデバイスに向けた低消費電力と処理能力のバランスに考慮したMCU(MicroControllerUnit)で、既にD1000は出荷が開始されている。D2000は2015年末までの出荷開始が見込まれる。「Quark SE SoC」はよりエンドデバイスに向けた製品で、センサーからのデータを取得するためのハブを備える。
スクーラー氏はIntel IoT ASIA 2015の基調講演にて「複雑性をなくして、スケーラビリティを確保しなくてはならない」とリファレンスデザインの重要性を強調。IoT時代に必要な要素として「リファレンスアーキテクチャ」「IoT製品のポートフォリオ」「パートナーエコシステム」を挙げ、「モノがネットワークを経由してクラウドにつながり、データが流れて解析されなければIoTではない」とデータを生かすことが何よりも重要だと述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ウインドリバーがクラウド対応RTOSなど無償提供、クラウド開発環境も無償で
ウインドリバーがクラウド対応OS「Wind River Rocket」「Wind River Pulsar Linux」ならび対応開発環境、テスト環境を無償提供する。32bit MCUまで対象としており、IoTエンドデバイスまでも視野に入れる。 - インテル、IoT開発と導入促進のプラットフォームを発表
インテルはIoT(Internet of Things)導入のリファレンスプラットフォーム「インテル IoT プラットフォーム」を発表した。IoTを構成するさまざまな要素についてリファレンスを示すことで導入に際しての煩雑さを解消し、迅速なIoTの開発と導入を可能にする狙いだ。 - ボタン大SoC「Curie」搭載の「Arduino 101」、2016年に発売
米インテルがボタン大のSoC「Curie」を搭載した開発ボード「Arduino 101」を発売する。日本国内での製品名称は「Genuino 101」となる予定。 - ウェアラブル機器のセキュリティ対策が加速、家庭でも多角度から認証
ウェアラブル機器が成長を続けるなか、それらを守るセキュリティの重要性も高まっている。インテル セキュリティは2016年度の個人向けセキュリティサービスを発表し、ウェアラブル時代のセキュリティについて解説した。