コンピュータが最適な形状を提案してくれる「Inventor 2016 R2」:真の“Computer Aided Design”の実現へ(3/3 ページ)
オートデスクは、製造業向け3次元CADソフトウェア「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2016 R2」の提供を開始。コンピュータが最適形状を導き出し、設計者に提示する「ジェネレーティブデザイン」の設計アプローチが組み込まれている。
「ジェネレーティブデザイン」の実現に向けて
Inventor 2016 R2では、ジェネレーティブデザインという新しい設計アプローチの第1ステップとして、トポロジー最適化の機能が組み込まれている。
オートデスクはさらにその先の「ラティス」という概念に基づいた技術も保有している。このラティスの技術が組み込まれた製品が「Within」である。
先に紹介したトポロジー最適化では、設計者が指定した仕様・条件を基に軽量化を行うのだが、その際、外形デザインも変更してしまう。これに対し、ラティスは指定した部分を構造体で抜くというアプローチを採る。そのため、外形デザインを維持したまま軽量化が行える。「Withinは、3Dプリンタによる製造を視野に、軽量化の実現と強度の位置を両立させるためのソリューションだ」と加藤氏。
そして、さらに先の研究もオートデスクの研究機関「Autodesk Research」で進められている。その研究は「Project Dreamcatcher」と呼ばれ、あらゆるテクノロジーを駆使し、ジェネレーティブデザインの設計アプローチを実現しようとするものだ。
「形状の作り方は幾つもある。外形をキープしないとダメなものや、形を変えてしまっても問題ないものもある。また、使用できる加工設備や材料でも作り方が変わる。Project Dreamcatcherは、こうしたあらゆるパラメータを入力条件として取り込み、最適と思われる形状を複数パターン、クラウドから抽出してくる。設計者はその中から適した形状を選ぶだけでよい。4本足の椅子をジェネレーティブデザインの設計アプローチ(Project Dreamcatcher)で実現すると、設計者が考え付かないような形状の椅子が生み出される。しかも、設計者が普通に設計した椅子に比べ、重量は約3分の1にまで軽量化され、椅子として十分な強度も保たれている」(加藤氏)。
何年後にProject Dreamcatcherの成果が製品・サービスに反映されるのか不明だが、コンピュータが自ら形状を導き出し、設計者に提示するジェネレーティブデザインの設計アプローチが今後のモノづくりにどのような変化をもたらすのか非常に興味深いところだ。
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