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科学最大の謎の1つ、レム睡眠の役割を解明医療技術ニュース

筑波大学は、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えをつかさどる脳部位を発見し、レム睡眠を操作できるマウスを開発した。その結果、レム睡眠には、ノンレム睡眠中にデルタ波を誘発する役割があることが判明した。

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 筑波大学は2015年10月23日、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えをつかさどる脳部位を発見し、レム睡眠を操作できるトランスジェニックマウスを開発したと発表した。その結果、夢を生み出すレム睡眠には、デルタ波と呼ばれる脳回路の再編成に重要な神経活動を、ノンレム睡眠中に誘発する役割があることが判明した。同研究は同大国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の林悠助教らと、理化学研究所脳科学総合研究センターの糸原重美チームリーダーらの共同研究グループによるもので、同月22日付で科学雑誌「Science」に公開された。

 レム睡眠とノンレム睡眠が見られるのは、複雑な脳を持つ哺乳類と鳥類のみであるため、これら2つの睡眠は脳の高等な機能に関わると考えられてきた。しかし、これまでレム睡眠を有効に阻害する方法がなく、その具体的な役割は分かっていなかった。また、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えのメカニズムに関しても、脳のどの細胞がスイッチの役を担っているのか、正確には分かっていなかった。

 同研究グループは、まず、マウスの遺伝子操作技術を用いて、レム睡眠からノンレム睡眠へと切り替えるスイッチの役割を担う神経細胞を発見した。この神経細胞の活動を人為的に強めたマウス(スイッチONマウス)ではレム睡眠が消失し、この神経細胞の活動を弱めたマウス(スイッチOFFマウス)ではレム睡眠が顕著に増えた。そこで、このレム睡眠を操作できる世界初のマウスを用いて、レム睡眠の効果を解析した。

 レム睡眠を操作した影響は、神経細胞同士をつなぐシナプスを強めて、学習や記憶形成を促すデルタ波に現れた。レム睡眠を無くすと、次第にノンレム睡眠中のデルタ波が弱まり、レム睡眠を増やすとデルタ波が強まることが判明。このことから、レム睡眠はこの作用を介して学習や記憶形成に貢献することが示された。

 さらに、スイッチ役の神経細胞がどの細胞に由来するのかを調べ、親となる細胞(神経前駆細胞)を同定することにも成功。この神経前駆細胞からは、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えを担う細胞だけでなく、睡眠から覚醒への切り替えを担う細胞も生み出されることが分かった。

 この発見は、睡眠と覚醒だけの単純な脳の状態しか持たない生物から、レム睡眠やノンレム睡眠といったより複雑な脳の状態を持つ生物が進化した歴史を裏付ける最初の証拠とも考えられるという。

 今後、今回開発されたトランスジェニックマウスについて検証することで、レム睡眠が記憶や学習にどのように寄与するのかや、脳発達におけるレム睡眠の役割、レム睡眠異常に関連する疾患の発症メカニズムなどについても、さらなる解明が期待されるとしている。

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同研究成果の概念図。哺乳類・鳥類に固有の記憶学習・脳発達のメカニズムとして、レム睡眠によるデルタ波の誘導という現象が明らかとなった。

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