自工会の「自動運転ビジョン」は「ゼロへの挑戦」と「限りなき挑戦」が柱:自動運転技術(2/2 ページ)
日本自動車工業会 会長の池史彦氏が、同会がとりまとめた「自動運転ビジョン」を説明。「ゼロへの挑戦」と「限りなき挑戦」を柱にした自動運転技術の開発を進める中で、2020年までが自動運転技術の実用化・導入期、2030年までが普及拡大・展開期、2050年までが定着・成熟期になるとした。
マイルストーンは東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年
自動運転ビジョンの中では、自動運転の展開シナリオを描く上で、「自動運転技術の枠組み」「共通基盤技術(連携領域)」「制度・インフラ領域」という3つの要素が重要になるとしている。これら3つの要素について、横軸を「自動運転の方式」、縦軸を「適用場所」としたマッピングを行った。
なお、「自動運転の方式」は、車載センサーを用いた周辺認識による「自律型」から、テレマティクスや車車間・路車間通信を用いた車両周辺以外の環境認識も複合させる「協調型」に進化していく。自動化レベルも、現在の「運転支援」から「部分的自動」、「条件付き自動」、「高度な自動」、「完全自動」と上がっていく。「適用場所」は、走行環境がシンプルか複雑であるかの違いで、駐車場が最もシンプルであり、高速道路、一般道と進むにつれてよりう複雑になる。
そして「自動運転の方式」と「適用場所」に対応するように、代表的な走行機能やシステムがマッピングされている。技術的な難易度は、右上に行くほど高まるとしている。
これら3つの要素に関するマッピングを基に、自動運転の展開シナリオが定められた。2020年までが自動運転技術の実用化・導入期であり、2030年までが普及拡大・展開期、2050年までが定着・成熟期になると想定している。
中でも、自動車工業会がマイルストーンとして重視するのが、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までの取り組みだ。池氏は、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、研究開発テーマの1つである、次世代交通システムや自動走行システムの実用化に向けて動きを加速するだろう。日本自動車工業会も精力的に取り組みたい」と述べている。
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