自工会の「自動運転ビジョン」は「ゼロへの挑戦」と「限りなき挑戦」が柱:自動運転技術(1/2 ページ)
日本自動車工業会 会長の池史彦氏が、同会がとりまとめた「自動運転ビジョン」を説明。「ゼロへの挑戦」と「限りなき挑戦」を柱にした自動運転技術の開発を進める中で、2020年までが自動運転技術の実用化・導入期、2030年までが普及拡大・展開期、2050年までが定着・成熟期になるとした。
2015年11月6日、「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)の主催者テーマ事業である「SMART MOBILITY CITY 2015」の国際シンポジウムが開催された。同シンポジウムのテーマは「自動運転は、クルマを、くらしを、社会をどう変えていくのか」。
基調講演に登壇したのが、東京モーターショーの主催者である日本自動車工業会 会長でホンダ 会長の池史彦氏だ。池氏は、日本自動車工業会内に立ち上げた自動運転検討会が中心になってとりまとめた「自動運転ビジョン」を紹介した。
池氏は、「日本自動車工業会の自動運転ビジョンでは、『世界で最も安全、効率的で、自由なモビリティ社会の実現』を目指す。事故ゼロ、渋滞ゼロ、自由な移動と高効率な物流を目標とし、二輪車、自転車、歩行者を含む全ての交通参加者のために自動運転技術を役立てる」と説明する。
ここで言う自動運転技術の役立て方は、大都市、都市間交通、地方・市町村といった地域ごとに分かれてくる。大都市とその周辺部では、過密環境における事故や渋滞の削減で、クルマ利用の不安や不便を解消する。都市間交通では、運転負荷軽減と交通流、輸送の効率化で人やモノの移動をより快適にする。そして、地方・市町村では、高齢化や人口減少が進む社会における移動手段と利便性の拡充になる。
そして、交通事故や渋滞といったクルマ社会の課題、過疎化や高齢化、都市集中、労働力人口の減少などの社会構造の課題を挙げながら、自動運転により、これらの課題を見据えた2つの挑戦を行うとした。1つは「ゼロへの挑戦」で、事故や渋滞をゼロにする。もう1つは「限りなき挑戦」で、自由な移動や効率的な物流の追求である。
池氏は、「これらの目標は自動運転技術だけで達成できないが、重要な役割を果たすことは確かだ。また、自動運転の実現は、技術的なハード面だけでなく、自動車ユーザーや他業種、行政府も含めて、幅広い議論が必要であり、段階的に実用化や普及を進めることが重要だ」と語る。
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