無段変速機の未来形は電動化に対応、サイズも重量も損失も40%削減:東京モーターショー2015
ジヤトコは、「東京モーターショー2015」において、同社の主力製品である無段変速機(CVT)のコンセプトモデルである「CVTフューチャーコンセプト」を披露した。サイズと重量、エネルギー損失の3項目全てについて、現在のCVTよりも40%削減することを目標としている。
ジヤトコは、「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)において、同社の主力製品である無段変速機(CVT)のコンセプトモデルである「CVTフューチャーコンセプト」を披露した。
CVTフューチャーコンセプトは、その名の通り将来的なCVTのあるべき形を意識したもので、サイズと重量、エネルギー損失の3項目全てについて、現在のCVTよりも40%削減することを目標としている。
CVTの特徴は変速ショックがほぼないこと、車速にかかわらず効率が良い回転数と負荷領域でエンジンを動作させられることなどがある。その一方で、一般的なATと比べてサイズや重量が大きくなりがちで、伝達効率も低い点が課題になっている。
CVTフューチャーコンセプトは、これらの課題を解決し、内燃機関車だけでなく、今後の市場拡大が見込まれるハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車といったパワーソースの異なる車両にも対応できるようにするためのものだ。同社社長の中塚晃章氏は、「ガソリンエンジン車の需要は新興国を中心にまだ続くだろう。しかし、多様化するパワーソースにも対応していかなければならない」と語る。
超小型CVTで電気自動車にの高速走行性能を向上
しかし、サイズと重量、エネルギー損失の3項目全てについて40%削減するという困難な目標をどう実現しようというのか。展示が簡素なモックアップ中心であり、名称がフューチャーコンセプトということもあって、製品化の時期はあまり近くない印象を受ける。
しかし同社の説明員によれば、2020年以降を目標に開発が鋭意進められているという。「現在は、CVTの中核となるプーリーと金属ベルトを使った変速機構は変更せず、その周辺にさまざまな工夫を加えることにより、まずは25%の削減を計画している。その後、剛性の確保を前提とした材料の見直しや、センサーを用いたより高度な制御などを組み合わせて、3項目の40%削減という目標達成を目指す考えだ」(同説明員)。
このCVTフューチャーコンセプトを実用化できれば、変速比幅を3〜4にとどめた超小型のCVTを電気自動車に提供できるようになる。現行の電気自動車は変速機を搭載しないことも多いが、高速走行時はモーターの高速回転時における効率の低下が課題になっている。そこでCVTを適用すれば、モーターを高速回転させなくても、高速走行を維持できるようになるわけだ。
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