スズキが新興国市場向けに「オートギヤシフト」を開発した理由:人とくるまのテクノロジー展2014
スズキが「人とくるまのテクノロジー展2014」で展示した、インドなどの新興国市場向けに新たに開発した自動マニュアルトランスミッション(AMT)「オートギヤシフト」。自動変速機や無段変速機より燃費向上効果の劣るAMTを選んだ理由とは?
スズキは、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、インドなどの新興国市場向けに新たに開発した新型変速機「オートギヤシフト」を展示した。
オートギヤシフトは、5段変速のMT(マニュアルトランスミッション)に、クラッチおよびシフト操作を自動で行う電動油圧方式アクチュエータを搭載した自動マニュアルトランスミッション(AMT)である。アクチュエータとECU(電子制御ユニット)をマニュアル変速機にじか付けして一体化することで、作動系の一体性を図っている。また、変速時におけるクラッチとシフト、エンジンの動作が協調するように工夫して変速操作の円滑化を実現した(関連記事:スズキが新型変速機「オートギヤシフト」を開発、インド向け新型車に搭載)。
インド市場は、AMTや自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)といった自動変速機を搭載する車両が全体の1%程度に過ぎず、マニュアルトランスミッション(MT)を用いた車両がほとんど。しかしスズキが開発したオートギヤシフトは、この状況を打破しつつある。2014年2月からインド市場で販売している新型車「セレリオ」は、同年3月末までに受注した約3万5000台のうち、47%がオートギヤシフト搭載仕様だった。
しかし、燃費向上の効果から言えば、AMTよりもATやCVT、DCTの方が上である。新たに開発するのであれば、日本国内で実績のあるATやCVTでもよかったはずだ。この疑問に対してスズキの説明員は、以下のように説明してくれた。「新興国市場で受け入れられるためには、現地調達率が高い必要がある。これは、コスト面の問題以上に、現地に利益をもたらす製品であるかどうかが重要視されるためだ。オートギヤシフトの場合、5段変速のMTは現地で調達できる。現地で調達できない可能性のあるアクチュエータやECUは、最悪日本から持っていて組み立てればいい構造になっている。これに対して、ATやCVTは、現地での技術が追い付かないため部品の現地調達率は大幅に下がってしまう。そして、最終的にはその市場で受け入れらないという結果をまねいてしまうのだ」(同説明員)という。
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