「アップルやグーグルにカーナビの主導権を渡さない」、NNGが新プラットフォーム発表:車載情報機器
ナビコアソフトベンダーのNNGは、車載情報機器向けのプラットフォーム「NavFusion Platform」を発表した。新たに音声認識による操作機能や、スマートフォン連携機能を強化し、自動車メーカーごとのカスタマイズが、従来よりもフレキシブルかつ容易になったという。
ハンガリーのナビコアソフトベンダー・NNGは2015年10月19日、車載情報機器向けに特化したプラットフォーム「NavFusion Platform」を発表した。スマートフォンを通信の起点に、クラウドと自動車をつなぐ“三位一体”型の仕組みで、円滑な地図更新や音声認識などが可能になったという。
NNG Japan 代表取締役の池田平輔氏は、「ユーザーがクルマに乗るたびに利用するカーナビゲーションシステム(以下、カーナビ)は、メーカーの印象を大きく左右する“コア・ドライビング・エクスペリエンス”を担う製品である」と説明。近年のトレンドとなっているIoT(モノのインターネット)の流れに押し流され、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)にカーナビの浸食を許せば「自動車メーカーがカーナビをブランディングする余地を失ってしまう。それは防ぎたい」と現状を解説した。
共同開発によりスマホ連携、音声認識を大幅に強化
こうした現状を踏まえ、発表されたのがNavFusion Platformだ。スマートフォンを通信の起点としたプラットフォームで、メーカーごとに機能をカスタマイズして開発することができる。
池田氏がまず特徴としてあげたのは円滑な地図更新だ。従来は地図データ全てに対し更新をかけていたものを、ユーザーが使う分だけの「部分更新」に変更、更新スピードを早めることに成功した。さらに地図のダウンロードも、通信起点となるスマートフォンがWi-Fiなどの携帯電話通信以外の方法で接続している際に行われるため、通信費用の負担も少ないという。加えてカーナビ上では「どの会社の地図情報を表示するか」を選択することができ、「TomTom」「Here」など好みの会社の地図情報を選択することができる。
NavFusion Platformでは、2社との協業による機能強化も行われている。1つは音声対話型HMI(Human Machine Interface)技術を持つiNAGO(イナゴ)との提携で、カーナビを音声認識で操作する機能を実装した。もう1つは、車載データとスマートフォンをつなぐシステムを持つAbalta Technologies(アバルタ)との提携で、同社の「WEBLINKプラットフォーム」を採用。これにより、タイヤの回転数などの車載データをスマートフォンのアプリ上で活用することができるという。
これらに加え、トヨタ自動車やVolkswagen(フォルクスワーゲン)、Ford Motor(フォード)、BMW、Daimler(ダイムラー)などが参画するADASIS(先端運転支援システムインタフェース)フォーラムが策定するインタフェースを導入するなど、カーナビに特化していないアップルやグーグルのマップ機能との違いを強調した機能強化となった。
「ナイトライダー」がゴール
NavFusion Platformについて、池田氏は現時点でメーカーに提供しているわけではなく、各メーカーの評価を進めるため、市場リリースは2年後をめどに考えているという。しかし、ひな型はほぼ出来上がっているとし、「いまこの瞬間のパーキングエリアの空き情報なども閲覧できる状態」と説明した。
池田氏は、日本における音声認識機能の普及の難しさや、IoTトレンドにおけるカーナビの立ち位置の難しさに触れつつも、「最終的に、クルマは『ナイトライダー』という海外TVドラマに出てきたドリームカーがゴールだと考えている」とカーナビが目指す方向性を述べる。そのためには、車載システムから送られてくるビッグデータや、カーナビのブランディングの主導権を自動車メーカーが握ることが重要だと説明した。
NNG 取締役会長のヤコブ・ハルベリン氏は、「日本市場は弊社にとって非常に重要なマーケット。2014年には東京と名古屋にオフィスも開設した。人員増強も進め、各メーカーの要望に応える製品作りに努めたい」と日本市場に対する意気込みを語った。
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