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カーナビ開発も水平分業へ、ナビコアソフトの大手NNGが日本上陸車載情報機器

日本企業の独壇場だったカーナビに水平分業開発の波が押し寄せている。かつてはカーナビメーカーが自前で開発していた、カーナビゲーションの機能を統括/制御するナビゲーションコア(ナビコア)ソフトウェアも専業ベンダーが登場。ナビコアソフト大手のNNGが、カーナビ発祥の地である日本市場で展開を強化する方針を打ち出した。

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カーナビ開発も水平分業へ、ナビコアソフトの大手NNGが日本上陸

 カーナビゲーションシステム(カーナビ)と言えば日本企業の独壇場――そういった考え方は既に現状に即していない。1981年にホンダが開発し、1990年にパイオニアがGPSを搭載するなど、カーナビの機能向上は日本企業が先導してきたことは確かだ(関連記事:進化の分岐点を迎えるカーナビ)。

 しかし、カーナビそのものが車載情報機器を構成する機能の1つになった現在、かつてはカーナビメーカーと呼ばれていた車載情報機器メーカーは、自前でほぼ全ての機能を作り上げる垂直統合型の開発から、さまざまなハードウェア/ソフトウェアを部品のように組み合わせる水平分業型の開発にシフトしつつある。2000年ごろから、カーナビのOSとして、自社開発の余地が多いμITRONから、Microsoftの「Windows Automotive」などへの移行が始まったのは、この水平分業型開発の走りといえるだろう。

 カーナビのソフトウェア分野における水平分業型開発への移行は、もはやOSにとどまらない。カーナビゲーションの機能を統括/制御するナビゲーションコアソフトウェア(ナビコア)についても専業ベンダーが登場している。特に、欧州や北米、南米、アフリカ市場といったアジア太平洋域外の市場で有力視されているナビコアソフトのベンダーが、ハンガリーのNNGである。

欧州と北米/南米の純正カーナビでシェア26%

 そのNNGが2014年4月10日、東京都内で会見を開き、日本国内での事業展開を強化する方針を発表した。2014年内には名古屋に拠点を設け、日本の自動車メーカーや車載情報機器メーカーが求める技術開発やサポートを行うことにより浸透を図る。また、日本国内での事業展開強化と併せて、中国をはじめとするアジア地域への展開も見据えている。

NNGのピーター・バロフ氏
NNGのピーター・バロフ氏

 NNGのCEOを務めるPeter Balogh(ピーター・バロフ)氏は、「当社のナビコアは、16の車載情報機器メーカーを経て30以上の車両ブランドで利用されており、世界の自動車メーカートップ10社のうち7社がパートナーだ。これまでに、168カ国にわたる2000万台以上の車両のカーナビにナビコアをライセンスした。2013年の、欧州と北米/南米を合わせた市場における自動車メーカーの純正カーナビのうち、当社のナビコアのシェアは26%に達する」と実績を列挙する。

NNGのナビコアの採用実績(左)と特徴(クリックで拡大) 出典:NNG

 NNGのナビコアの特徴はホワイトレーベルソフトウェアであることだ。ホワイトレーベルソフトウェアとは、自社ブランドを前面に出さず、基本的にバックグラウンドで動作するソフトウェアのこと。NNGのナビコアを使えば、自動車メーカーや車載情報機器メーカー側でユーザーが直接扱うHMI(Human Machine Interface)を用意すれば、短期間で独自ブランドのカーナビを提供できる。ナビコアそのものにOSは含まれていないが、「当社のナビコアはカーナビで用いられているほぼ全てのOSに対応している」(バロフ氏)という。

 またカーナビに不可欠な地図データや、駐車場やガソリンスタンドをはじめとする施設情報(POIデータ)についても、ソフトウェアモジュールとして組み合わせる形で利用できる。日本市場での展開を強化する上で、既にインクリメントP、ゼンリン、トヨタマップマスターといった地図データベンダーとの提携は締結済みだ。

 ソフトウェアモジュールの組み合わせについてはかなり広範囲なことができる。例えば、あるベンダーの地図データを使う一方で、POIデータは他のベンダーのものを使用するという選択が可能だ。また海外のカーナビの事例だが、通常の2次元の地図データと都市部などで用いる3D地図データについて、異なる企業のものを組み合わせたこともあるという。

日本市場では2015年にシェア10%を目指す

NNG国内拠点の責任者となる池田平輔氏
NNG国内拠点の責任者となる池田平輔氏

 今回の会見に合わせて、国内拠点の責任者となるOEMリレーションズ担当ディレクターとして池田平輔氏を任命したことも発表した。池田氏は、車載情報機器メーカーにGPS製品を供給するサプライヤをはじめカーナビ業界で20年以上の経験を持つ。

 池田氏は、「日本の都市部は、立体交差や建物が多く、密度が高いという特徴があり、カーナビゲーションに求められる要求も厳しい。NNGはさまざまな国/地域におけるカーナビゲーションのローカライズに成功した実績があるが、日本市場向けにも24種類の機能を新たに追加した。今後1年間で、さらに25種類の機能を追加する予定だ」と説明する。

 日本市場向けのカーナビについて、NNGのナビコアの採用実績は2社ある。そのうちの1社は、2013年度のサプライヤ・アワードでNNGを表彰した富士通テン。また、サプライヤは不明だが、マツダが2013年11月発売の新型「アクセラ」から導入を始めた「MAZDA CONNECT(マツダコネクト)」のカーナビゲーション機能は、NNGのナビコアを採用している。

 NNGは、2014〜2015年にかけて4つの新規プロジェクトに参画するなど、さらに採用実績を積み上げる構え。「2015年までに日本のカーナビ市場で10%のシェア獲得を目指す」(池田氏)としている。

会見で披露したNNGのナビコアを使ったカーナビゲーションの画面。左側は海外市場でスポーツカーに採用されたもの、右側は日本市場向けに開発中のサンプルである(クリックで拡大)
NNGのナビコアを使った日本市場向けカーナビゲーションのサンプル画面(クリックで拡大) 出典:NNG

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