パナソニックが介護関連事業を拡大、歩行支援ロボットなどを2016年度に投入:医療機器ニュース(3/3 ページ)
パナソニックは介護関連事業の売上高を、2014年度の280億円から2018年度に750億円、2025年度に2000億円まで成長させる方針だ。「第42回 国際福祉機器展 H.C.R.2015」で参考出品する歩行アシストロボットなども2016年度をめどに実用化/商品化する計画だ。
「3D測定・訓練システム」と「高齢者施設向けみまもりシステム」
3D測定・訓練システムは、マイクロソフトのモーションセンサーカメラ「Kinect」を使ってリハビリなどの訓練を行う際の体の動きを測定し、「お勧め訓練」を提示したり、各人の状態や能力に合わせた目標を設定したり、自身の姿勢を3方向から確認しながら訓練を行ったりすることができる。
高齢者施設向けみまもりシステムは、ベッドに組み込む「生体センシングみまもりシステム」、部屋のエアコンを使う「スマートエアコンみまもりシステム」、住宅や施設の出入りを管理する「顔認証システム」の3つから構成されている。
まず生体センシングみまもりシステムは、ベッド下に設置した24GHz帯の電波センサーにより被介助者の呼吸や体動をモニタリングする機能を備えている。睡眠中に呼吸数が急激に増えたり、起きてベッドを離れたりといった状態を介護ステーションで一括管理できるわけだ。
次のスマートエアコンみまもりシステムでは、パナソニックが得意とする“スマート家電”のラインアップの1つであるネットワーク接続機能を持つエアコンを用いている。エアコンの温湿度センサーで居室内の状況を、居室内に設置した2.4GHz帯の電波センサーで被介助者の行動をモニタリングできる。エアコンの操作はネットワーク接続機能により介護ステーションから行えるので、被介助者がエアコンを使うのを忘れて熱中症になるような状況でも、居室内温度を基にした警告に従ってエアコンを遠隔操作で動作させればよい。
最後の顔認証システムは、カメラ画像から対象者の顔を検知し、データベースに登録されている顔写真と照合して人物を特定し、ドアと連動して自動で開錠する。被介助者向けというよりは介護者向けで、ナンバーキーやICカードによる開錠システムと比べて、両手で車いすを押しながら自由に出入りができるなどのメリットがある。もちろん、認知症の被介助者の無断外出も防ぐのにも役立てられる。なお、同社の顔認証システムの認証制度は業界トップクラスであり、認証スピードも0.1秒以下と高速だとしている。
既にパナソニックの介護施設で運用している顔認証システムを除き、自立支援型起立歩行アシストロボット、3D測定・訓練システム、生体センシングみまもりシステム、スマートエアコンみまもりシステムは、2016年度内の実用化/商品化が目標となっている。
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