躯幹部の検査が可能な3テスラMRIシステムの最新機を発売:医療機器ニュース
東芝メディカルシステムズは、3テスラMRIシステム「Vantage Titan 3T iS Edition」のグローバル販売を順次開始する。従来品に比べ、より高品質な画像を取得でき、位置決めアシスト機能などが拡充された。
東芝メディカルシステムズは2015年9月8日、3テスラMRIシステム「Vantage Titan 3T iS Edition(バンテージ タイタン スリーティー アイエス エディション)」のグローバル販売を順次開始すると発表した。
Vantage Titan 3Tは、RF送信技術「Multi-phase Transmission」を搭載することで、従来の3テスラMRI装置では困難だった躯幹部の検査を可能にしたもの。さらにiS Editionでは、コンパクトなシステムのニーズに対応し、最小設置スペースを36m2とした他、3つの機能を大幅に強化した。
強化された機能の1つは、「画像の品質向上」だ。同製品は、2014年11月に発売した「Saturn Gradient」で採用した新型傾斜磁場コイル機構を搭載している。高い冷却能力と振動抑制技術により、撮像中の傾斜磁場コイルの発熱による中心周波数の変動と、振動による信号の分散を信号レベルで抑制。これにより、高品質な画像を安定して取得できる。
また、フレキシブルなパラメータ変更で装置性能を最大限に引き出す新シーケンス制御機構により、T2スター値の短い組織を画像化するUTE(Ultra short TE)の撮像も可能となった。UTEによって、肺野領域の検査など従来のMRIでは困難だった部位でも画像化できるようになる。
2つ目は「検査効率の最大化」で、頭部、心臓、脊椎の形状を解析し、診断に必要な断面の位置決めアシストをする機能を拡充させることで、検査効率と再現性を両立させた。心臓位置決めアシスト機能では、心臓左室の基本6断面設定に加えて、右室と弁および流出路の8断面も設定可能になった。さらに、新たに搭載された「SUREVOI(シュア ブイオーアイ)」アプリケーションでは、被検者の心臓位置を解析・自動認識する。
3つ目は「安心で確実な検査」で、登録されているソフト以外は動かないホワイトリスト方式セキュリティシステムを搭載。同製品は、米国国防総省のネットワークセキュリティガイドラインに適合するとして、米国空軍からApproval To Operate(ATO)を受けている。他に、万一のシステムトラブルに対するアラート機能の強化や、ハードウェアを迅速にリセットする機能などを新たに追加し、従来のリモートメンテナンス機能と合わせ、ダウンタイムを最小化した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “妹”も生まれる「地平アイこ」、誕生の秘密
東芝の開発したコミュニケーションロボット「地平アイこ」(ちひらあいこ)。自然さにこだわり、展示会では手話も披露した。産業用ロボットは以前から手掛ける同社が、なぜコミュニケーションロボットの事業化を目指すのか。 - 東芝やキヤノンが優位、微細加工技術の「ナノインプリント」
数十nm単位の微細加工に適した技術「ナノインプリント」。ある種の印刷技術を使って樹脂表面などに微細なパターンを転写する米国の大学発の先進技術だ。同技術の特許出願状況を調査したパテント・リザルトによれば、強い特許を持つ上位5社の中に、日本企業として東芝、キヤノン、富士フイルムが入った。 - NEDOの「予測」を8年も早く達成、東芝の住宅用太陽電池
東芝がモジュール変換効率20.1%の住宅向け太陽電池の販売を開始する。今後、年間100MW以上を販売していく見込みだ。 - 東芝が「SCiB」を車載用に展開、2次利用による価格低減も視野
- 韓国に負けたのか日本企業、燃料電池で東芝とパナが健闘
家庭の据え置き用途、燃料電池車、携帯型用途……。燃料電池は発電効率が高い他、燃焼ガスの発生が少なく発電技術だ。動作音が静かであることも他の発電技術と比較して有利だ。燃料電池の研究開発は米国で始まり、日本と米国を中心に実用化が進んでいる。では特許戦略では日本は優位にあるのか。