世界に羽ばたく日本発の安全資格「セーフティアセッサ資格認証制度」とは?:機械安全(2/2 ページ)
注意を払っていても発生する事故――。製造業にとって工場やそこで使用する機械の安全性は避けては通れない大きなテーマである。こうした事故を防ぎ「安全な機械」を設計する日本発の資格制度が「セーフティアセッサ資格認証制度」である。本稿では、セーフティアセッサ資格制度の概要について紹介する。
厚生労働省が「有効」と評価
2014年4月には、厚生労働省通達(基安発0415第3号)「設計技術者、生産技術管理者に対する機械安全に係わる教育について」が発令された。その教育カリキュラムの運用については、同通達(基安安発0415第1号)「設計技術者、生産技術管理者に対する機械安全に係わる教育に関し留意すべき事項について」に具体的に記載されており、SA資格者は、設計技術者、生産技術管理者の機械安全教育カリキュラムについて、十分な知識を有するものと見なせることが明示されている。またSBA資格は、機械の使用者(ユーザー)の職長、作業主任者、各種安全担当者に対する機械安全教育には有効であることが明記された。
セーフティアセッサ資格取得者と教育カリキュラム実施対象者との関係を図1に示す。各資格は、その当該対象者への教育カリキュラムを十分包含している。このようにこの制度は、機械安全に関わる人材育成において有効かつ重要な資格制度であるとの高い評価を得ており、全製造分野をターゲットにさらなる展開を図る。
セーフティアセッサはグローバルに拡大
SA/SBA制度は、今では日本のみならず、アジア7カ国(日本、中国、台湾、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア)といったASEAN各国を中心にグローバル展開中であり、現在の資格保有者数は8439人となり、企業総数906社(2015年3月末現在)に上っている。自動車メーカー、機械メーカー、制御機器メーカーなど、日本のモノづくり基幹産業にて活用され、国際安全規格に基づいた安全構築および安全教育に大きく貢献している(図2、図3)。
国際規格に基づく安全構築の機運が高まる中、国内外でのより一層のSA/SBA制度の普及と、海外への安全技術移管を積極的に行い、SA/SBA制度の20万人規模への飛躍的拡大と安全普及活動を推進する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- PLCopenの「Safety FB」とは
「IEC 61131-3」と「PLCopen」について解説する本連載。今回はPLCopenの「Safety FB」について解説します。 - FMEAは運用しているけど……品質管理セーフティネットはどう考えるべき?
製品ライフサイクル全体を管理するためにはPLMを基軸としたシステム作りが急務。PLM導入・改善プロジェクトを担当する際に事前に知っておくべき話題を、毎回さまざまな切り口から紹介していきます。 - 一般制御と安全制御を統合した、国際安全規格対応のシーケンサを発売
三菱電機は、汎用シーケンサ「MELSEC iQ-R」シリーズの新製品として、「安全CPU」4機種と「安全機能付I/Oユニット」2機種を発売した。国際安全規格のISO13849-1 PLe/IEC61508 SIL3の認証を取得している。 - 35kgのモノが運べるのに安全! ファナックの“緑”の人間協調ロボ欧州デビュー
ファナックは、ハノーバーメッセ2015の中心製品として安全機能を組み込み人間と協調して作業を行える人間協調ロボット「CR-35iA」を出展した。 - いまさら聞けない 機能安全入門
あなたは、人に「機能安全」を正しく説明できるだろうか? 機能安全基本規格「IEC 61508」を基に機能安全の基礎とその概要について解説する