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細胞死を誘導しiPS細胞由来T細胞療法の副作用を制御するシステムを構築医療技術ニュース

東京大学医科学研究所研究グループは、iPS細胞の技術を使って若返らせたヒトの免疫細胞(T細胞)が、マウスに移植した腫瘍を縮小させることを確認した。

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 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターの中内啓光教授、日本学術振興会の安藤美樹特別研究員RPDらの研究グループは2015年8月28日、iPS細胞の技術を使って若返らせたヒトの免疫細胞(T細胞)が、マウス体内の腫瘍を縮小させることを確認したと発表した。さらに、T細胞に薬剤で細胞死を誘導できる自殺遺伝子を組み込むことで、iPS細胞由来T細胞療法の過程で起こりうる副作用を制御できることを確認。同療法の安全性を高めることにも成功した。

 研究グループは、患者の末梢血由来のT細胞を使用して、iPS細胞(T-iPS細胞)からキラーT細胞を作製。この細胞が、試験管の中だけでなく、マウスの体内においても腫瘍を効果的に縮小させることを証明した。さらに、キラーT細胞に自殺遺伝子iCaspase9(iC9)を組み込み、iC9を発現するT-iPS細胞から特定のウイルスのみを攻撃するキラーT細胞を再分化した。このT細胞はiC9を高発現し、元の抗原特異性を維持していた。

 これまでiPS細胞由来キラーT細胞については、実際の抗腫瘍効果が証明されていなかったが、マウス体内に移植した腫瘍を明らかに縮小させる効果が見られた。またiPS細胞に由来しない普通のキラーT細胞で治療したマウスグループと比べて、マウスの生存期間が延長していることも分かった。

 加えて、iPS細胞由来T細胞に特定の薬剤を投与すると、細胞死を誘導できることを確認。iPS細胞由来T細胞療法の過程で副作用が起きた場合、その症状を消失もしくは制御できる安全システムを構築した。

 同研究成果は、安全で有効なiPS細胞由来T細胞療法確立に向けての橋渡しとなることが期待される。また安全システムは、他のiPS細胞やES細胞を利用した細胞療法一般にも応用可能だという。

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細胞に自殺を促す自殺遺伝子iC9による安全システムを備えたiPS細胞由来T細胞療法とその概念図

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