日産「リーフ」が走行距離を拡大、電極材料にマグネシウム追加で電池容量25%増:電気自動車
日産自動車の米国法人と欧州法人は、電気自動車「リーフ」を改良したと発表した。電極材料に、カーボンと窒素、マグネシウムを導入した新たなリチウムイオン電池セルを採用するなどして電池パックの容量を24kWhから30kWhに増やし、満充電状態からの走行距離を大幅に伸ばした。
日産自動車の米国法人と欧州法人は2015年9月10日(現地時間)、電気自動車「リーフ」を改良したと発表した。リチウムイオン電池パックの容量を24kWhから30kWhに増やし、満充電状態からの走行距離を大幅に伸ばすとともに、車載情報機器を充電器の位置確認などがより容易になった「NissanConnect EV」に刷新している。
走行距離については、販売地域の測定方法によって異なり、米国仕様は従来比27%増の107マイル(約172km)に、欧州仕様は同26%増の250kmに拡大した。国内仕様も間もなく発表されるとみられ、その場合には従来の228kmから285km程度まで伸びることになりそうだ。
新開発のリチウムイオン電池パックは容量が25%増加しているものの、重量は21kgしか増加していない。従来のリーフのリチウムイオン電池パックは重量が294kgだったので、7%しか重くなっていないことになる。さらに、リチウムイオン電池パックの大型化も抑えており、車室や荷室の広さは従来と変わらないという。
新開発のリチウムイオン電池パックでは、電極材料を改良した新型の電池セルを採用しており、この新型電池セルに合わせてリチウムイオン電池パックの構成も最適化している。
まず新型電池セルの電極材料では、新たにカーボンと窒素、マグネシウムを導入することにより、従来と同じ入出力密度を維持しながら、エネルギー密度を高めることに成功した。電池セルのパッケージは従来と同じラミネート型である。
リチウムイオン電池パックを構成するセル数は192個で変更はない。ただし、従来は電池セル4個から成る電池モジュールを48個接続していたが、電池モジュールを構成する電池セルの数を8個に変更し、電池パック内の電池モジュール数は24個に半減している。
新型リーフの米国市場での販売価格は、政府から得られる7500米ドルの補助金を差し引いた金額で、「SLグレード」が2万6700米ドル(約322万円)、「SVグレード」が2万9290米ドル(約353万円)。走行距離が従来と同じ「Sグレード」は2万1510米ドル(約259万円)となっている。欧州市場については、販売開始が2016年1月であることから、価格情報は公開していない。
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