新型「ソリオ」のマイルドハイブリッドはモーター出力1.5倍、燃費は27.8km/lに:エコカー技術(2/2 ページ)
スズキは、小型車「ソリオ」とカスタムモデルの「ソリオ バンディット」をフルモデルチェンジした。軽自動車で採用を広げているマイクロハイブリッドシステム「S-エネチャージ」を、登録車であるソリオへの搭載に合わせて「マイルドハイブリッド」に改称して採用。JC08モード燃費は従来の25.4km/lから27.8km/lに向上した。
デュアルジェットエンジンも新開発の「K12C型」に
パワートレインの特徴は、エンジンの改良と、マイルドハイブリッドの採用になる。エンジンは、2013年11月のマイナーチェンジで採用した排気量1.2lのデュアルジェットエンジン「K12B型」を改良した「K12C型」に置き換えた。圧縮比を12.0から12.5に高めて熱効率を向上。圧縮比を高めることで発生しやすくなるノッキングについては、冷却効果向上や混合気最適化などによって対応した。最高出力67KW(6000rpm)、最大トルク118Nm(4400rpm)という仕様はK12B型と同じだが、低回転域でのトルク向上が図られているという。
ソリオのマイルドハイブリッドは、軽自動車に採用されているS-エネチャージとシステム構成は同じ。スターターモーター機能と走行アシストのためのモーター機能を併せ持つ「ISG(モーター機能付き発電機)」と、S-エネチャージ専用のリチウムイオン電池パック、アイドルストップ車専用の鉛バッテリーなどから構成されている。
ただしISGの性能は、S-エネチャージが最高出力1.6kW、最大トルク40Nmであるのに対して、マイルドハイブリッドでは最高出力2.3kW、最大トルク50Nmに向上している。モーターアシスト時間は最長30秒で、これは2015年5月に「ハスラー」に採用されたS-エネチャージと同じである。
従来モデルは、K12B型に減速エネルギー回生システム「エネチャージ」を組み合わせており、JC08モード燃費は25.4km/lだった。これに対して、K12C型とマイルドハイブリッドを搭載するHYBRID MXのJC08モード燃費は27.8km/lと約10%向上している(いずれも2WD車の場合)。
「デュアルカメラブレーキサポート」はクルコンもセット
ソリオは、後席ドアにパワースライドドアを採用していることも特徴の1つだ。後席スライドドアの開口サイズは、従来モデルの開口幅580×開口高さ1230×ステップ高さ365mmから、開口幅640×開口高さ1230×ステップ高さ360mmに拡大した。特に開口幅は60mmも広くなっている。
荷室についても改良が施されている。バックドアは後席スライドドアと同様に、開口部を広げた。開口幅1065×開口高さ960×開口地上高さ665mmとなっている。開口地上高さを下げたので荷物の積み下ろしが容易になったとする。また荷室の幅と高さが広がったので、荷室容積は従来モデルより増えているという。サブトランク容量は2WD車が100l、4WD車が26lである。
運転支援システムでは、2015年5月発売の「スペーシア」で初搭載したステレオカメラを用いる「デュアルカメラブレーキサポート」を採用した。マイルドハイブリッド搭載車のメーカーオプションで選択できる。
デュアルカメラブレーキサポートの機能はスペーシアと同じで、時速約5〜約100kmで走行中に、走行速度が約5〜約50kmであれば先行車両などとの衝突を回避できる自動ブレーキなどだ。
ただし新型ソリオの場合、デュアルカメラブレーキサポートのメーカーオプションにクルーズコントロールシステムもセットになっている。このクルーズコントロールシステムは、時速45〜100kmの間で設定した走行速度を維持する機能であり、先行車両を追従する機能はない。
クルーズコントロールシステムがセットになったものの、オプションの税込み価格は5万9400円と、スペーシアの7万5600円よりも安価になった。
この他、車両の前後左右に設置した車載カメラを使って、自車両を真上から見ているようなふかん映像を映し出すサラウンドビューも採用している。メモリータイプのカーナビゲーションシステムとセットになっており、税込み価格は12万9600円である。
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