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静電容量式車載タッチパネルの市場規模が5年で10倍以上に、抵抗膜式を逆転車載電子部品

矢野経済研究所の調査によれば、2020年の世界全体の車載タッチパネル市場規模は、2015年比で約2倍の5640万枚まで拡大する見込みだ。中でも静電容量式の車載タッチパネルについては、2015年の258万枚から、2020年には10倍以上となる3320万枚を記録するとしている。

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 矢野経済研究所は2015年8月25日、2020年までの車載タッチパネル市場規模の予測結果を発表した。世界全体の車載タッチパネル市場規模(メーカー出荷数量ベース)は、2015年の1年間で2866万枚となり、2020年には約96%増の5640万枚まで拡大する見込みである。

 現在、車載タッチパネルの主な用途は、カーナビゲーションシステムやディスプレイオーディオなどの車載情報機器だ。今後は、後席で映像コンテンツなどを楽しむのに用いるリヤエンターテインメントシステムや、自動車のIT化による車載ディスプレイの採用拡大にけん引されてタッチパネルの搭載率が向上し、市場規模も拡大するという。

車載タッチパネルの市場規模推移
車載タッチパネルの市場規模推移(クリックで拡大) 出典:矢野経済研究所

 タッチパネルの方式には、抵抗膜式と静電容量式、赤外線式がある。2014年の車載タッチパネル市場規模2495万枚のうち、抵抗膜式が2375万枚、静電容量式が120万枚、赤外線式が3000枚だった。構成比で95%を占める抵抗膜式は、使用実績と安定した品質、低コストなどを理由に、車載タッチパネルとして広く利用されている。赤外線式については、2013〜2014年にかけて一部採用されたが、電磁ノイズの問題などから採用は拡大しないもようだ。

 今後の車載タッチパネルの市場成長をけん引するのが静電容量式である。2014年時点の構成比は約5%にすぎないが、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴って車載機器向けでも同じ操作感を求める消費者ニーズが増えており、自動車メーカーやティア1サプライヤが機器のデザイン性向上のための薄型化と曲面ディスプレイ対応に向けて、抵抗膜式から静電容量式への置き換えを進めている。

 2015年は、欧州や北米の自動車メーカーの高級車、日本の自動車メーカーの一部車種で採用が増加し、静電容量式車載タッチパネルの市場規模は2014年比で約2.1倍となる258万枚となる見込みだ。

 さらに、スマートフォンなどと比べてモデルチェンジ周期が長い自動車という製品では、今開発した車載機器でも、2年または3年後に発売される車両で新たに採用されるケースが多い。静電容量式車載タッチパネルを用いた車載機器は、2013〜2014年にかけて製品化に向けた引き合いが増加したため、2016〜2017年に静電容量式の需要が本格的に立ち上がる見通し。その結果、2016年の静電容量式車載タッチパネルの市場規模は、2015年比で約4.9倍となる1253万枚を記録するという予測になっている。その後も市場規模は着実に拡大し、2020年には3320万枚に達するとしている。

 一方、抵抗膜式車載タッチパネルは、2016年をピークに、静電容量式と置き換わる形で徐々に市場規模が減少する。2019年には、静電容量式の2943万枚に対して、抵抗膜式は2532万枚となり、静電容量式が抵抗膜式の市場規模を上回るようになる。

車載タッチパネル市場の方式別構成比
車載タッチパネル市場の方式別構成比(クリックで拡大) 出典:矢野経済研究所

車載タッチパネルもインセル/オンセル化

 市場拡大が見込まれる静電容量式車載タッチパネルだが、タッチパネルメーカーの他にも、ディスプレイメーカーが液晶ディスプレイと組み合わせてタッチパネルを供給する事例も増えている。タッチパネルと液晶ディスプレイを貼り合わせたセット品に加えて、2018〜2019年をめどに、インセルやオンセルといった静電容量式のタッチ機能を内蔵する車載ディスプレイの開発も進められている。

 車載情報機器の画面サイズの大型化も車載タッチパネル市場の動向に影響を与える。現在の車載情報機器の画面サイズは7〜8インチが中心だが、今後は7インチの需要が縮小する一方で、8インチの需要が増加するという。さらに、2014年から9インチや10インチ以上という引き合いも増えており、画面サイズは大型化する傾向にある。

 これに合わせて、車載タッチパネルの大型化も必要になるため、今後の需要の中核となる静電容量式では低抵抗化やセンシングノイズの回避などが課題になりそうだ。

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