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「強みは自律」産業用ドローン新会社「エアロセンス」が描く未来自律飛行(2/2 ページ)

無人機を売るのではなく、無人機によるセンシングとクラウドによるデータ処理こそが価値を生む――。ZMPとソニーモバイルの設立した新会社「エアロセンス」は産業用無人機で一気通貫の「ソリューション」を提供する。

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 新会社が利用する無人機は他社からの導入ではなく、「信頼性確保のため」(ZMP 谷口社長)自社開発した。試作機「AS-MC01-P」は4枚のプロペラを持つクアッドコプター型で、GPSと慣性センサーに加えて搭載カメラでマッピングと自己位置推定を行うVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により自律飛行を行う。

 本体下部にはソニーのレンズスタイルカメラ「DSC-QX30」(有効約2040万画素)を搭載しており、撮影を行う。ペイロードにはまだ余裕があり、導入先のリクエストによってはレーザー測量機など他のセンサーデバイスを搭載することも検討するとしている。AS-MC01-Pの飛行時間は約20分で、耐風速は風速10m以上。サイズ(対角モーター間距離)は515mmで、機体重量は約3kgだ。

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試作機「AS-MC01-P」
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機体下部にはソニーの「DSC-QX30」をほぼそのまま搭載する
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正面に見える小さいレンズはVisual SLAM用カメラのレンズ。Visual SLAM用カメラは正面方向と下方向の2つを搭載する

 将来的にはマルチコプターと飛行機(固定翼機)の長所を併せ持つ、垂直離着陸機の導入も視野に入れる。神戸大学と共同開発した実験機は試験飛行を行っており、垂直離陸と固定翼による飛行、垂直着陸の様子を収録した映像も公開された。

ソニーモバイルコミュニケーションズとZMPの設立した「エアロセンス」が公開した、VTOL実験機の映像
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「AS-DT01-E」と名付けられたVTOL実験機
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中央部に設置された2重反転プロペラが推進力を生み出す。機首と両翼には姿勢制御用のファンが設けられている

 無人機については一般向けの手軽な製品が多く登場したことからパブリックな場所での落下事故が発生し問題となっているが、同社では産業向けとして当面は建設現場や資材置き場、農地といった私有地での利用を想定する。ただ、VTOLの開発に着していることからも分かるよう、同社では一般飛行機のような長距離輸送も想定している。

 「当面は私有地内でのサービスに限定するが、長距離輸送ができれば医薬品の緊急搬送などができるようになる。“100%事故がない”とは言えないが、100%に近づけていく努力は続けていく。無人機の実績を積み重ねていき、活躍の場所を広げていきたい」(谷口氏)

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