「伴走コンサル」で“売れる”医療機器の開発につなげたい:経済産業省 医療・福祉機器産業室長 インタビュー(3/3 ページ)
2014年後半から2015年にかけて、日本政府から医療機器の開発を支援するための施策が続々と進められている。これらの施策の立案と実施に携わっている、経済産業省の商務情報政策局で医療・福祉機器産業室長を務める土屋博史氏に話を聞いた。
「チームワーク」による「イノベーションの加速」が重要
MONOist 2015年4月に発足したAMEDにはどのような期待がありますか。
土屋氏 AMEDは、日本の医療分野における研究開発の司令塔機能を持った組織として、平成27年(2015年)4月1日に設立されました。AMED設立により、医療分野の研究開発については、各省庁間の情報共有をはじめとした横串を通した連携が深まっており、今後も政策面の検討段階から連携が一層深まっていくと考えています。
MONOist このように、医療機器開発を支援する施策が実施できている背景には何があるのでしょうか。
土屋氏 「日本再興戦略」で示された「健康寿命の延伸」を実現するべく、関係省庁・関係機関との連携による環境整備、そして実行が進んでいることが大きいと感じています。経済産業省としても、今後さらなる連携のもと、施策のテコ入れを進めていきたいと思います。
MONOist これまで日本の産業強化政策は、日本で開発・製造された製品を、日本企業の手で国内外に広く販売することを最終目標としていました。今回の医療機器開発を支援する施策も、それは同じなのでしょうか。
土屋氏 確かに、医療機器の世界市場では、欧米の企業が上位を占める状況です。一方で、医療ニーズを踏まえた医療の質と効率性の向上、健康寿命の延伸に貢献する機器の開発・事業化において、日本には、ロボット技術や金属加工技術、ICTなどをはじめとする高い技術力、医療現場における高度な診断・治療技術、そして何よりも、これらを日夜絶え間なく改善・向上させていく現場の力があると思います。
冒頭でも申し上げたように、日本の医療機器産業のさらなる活性化・競争力強化を推し進めるためには、「チームワーク」による「イノベーションの加速」していくことが重要です。われわれも現在は、日本の企業に加え欧米の企業とも随時コミュニケーションを図りながら検討を重ね、政策を進めているところです。
行政側では、2015年4月に医療分野の研究開発の司令塔としてAMEDが立ち上がり、そのもとで、各省が一体感を持って取り組みを進めていることを強く実感します。また、企業側も、従来の研究開発にとどまらず、企業間連携も含めて野心的に事業化を進めるとともに、医療機関側も、事業化を意識した機器開発に積極的に参画するケースが増えてきました。今こそ、医療機器に係る日本発のイノベーションを加速する好機だと思います。
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