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「伴走コンサル」で“売れる”医療機器の開発につなげたい経済産業省 医療・福祉機器産業室長 インタビュー(2/3 ページ)

2014年後半から2015年にかけて、日本政府から医療機器の開発を支援するための施策が続々と進められている。これらの施策の立案と実施に携わっている、経済産業省の商務情報政策局で医療・福祉機器産業室長を務める土屋博史氏に話を聞いた。

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医療機器開発支援ネットワークへの相談件数は発足から9カ月で800件以上

MONOist 医療機器開発支援ネットワークの特徴について教えてください。

土屋氏 医療機器開発支援ネットワークで肝になるのが、「伴走コンサル」です。これは事業者が製品を上市するまでの各段階で抱える課題に対し、各分野で専門性を有するコンサルが事業者に伴走し、参謀役としてソフト面を支援します。

 ポイントは2つあります。1つは、開発の初期段階である、「市場探索」「デザイン・コンセプトの設計」において、販売まで見据えた事業戦略の「仮説」をしっかり練ること。もう1つは、開発規模が大きくなる第2段階となる「開発・試験・治験・審査・保険・販路」への橋渡しを円滑に進めるべく、企業(製造・販売)・医療機関の間の連携を進めることです。

医工連携による機器開発を推進する「医療機器開発支援ネットワーク」
医工連携による機器開発を推進する「医療機器開発支援ネットワーク」(クリックで拡大) 出典:経済産業省

 伴走コンサルでは「作ってみたが売れない」「薬事申請は通過できたが売れない」といった事態を避けるべく、医療機器の開発・事業化戦略のアタマづくりをサポートしています。実際、成果を上げている地域では、開発初期から、医療機関・製造者に加え、販路を持つ事業者(製販事業者、ディーラーなど)を交えてデザイン・コンセプト設計を行い、開発プロセスの橋渡しをうまく進めていると感じます。

MONOist 医療機器開発支援ネットワークではどのような成果が出ていますか。

土屋氏 2014年11月から2015年7月までで相談件数は800件を超え、このうち伴走コンサルは約210件に達しており、自動車、電機電子、素材、ソフトウェアといった異業種からの参入も増えています。相談内容も約半数が「販路開拓」に関するもので、ここ数カ月の間にも、より具体的で事業化に直結した内容が増えてきました。

医療機器開発支援ネットワークに関する相談・伴走コンサル件数の推移
医療機器開発支援ネットワークに関する相談・伴走コンサル件数の推移(クリックで拡大) 出典:経済産業省

MONOist 医療機器開発支援ネットワークの今後の展望は。

土屋氏 設立からまだ1年もたたないところですが、この取り組みが一段と広がっていく中で、伴走コンサルの果たす役割は大変大きいものがあります。伴走コンサルとして、1案件につき3〜4人でチームを組み、医療機器メーカーやディーラーのOB、弁理士、PMDAでの薬事審査の経験者などが参加しています。

 一方で、伴走コンサルを担う人材は、まだまだ不足がちです。これに対応すべく、現在、厚生労働省、文部科学省、AMED、日本医療機器産業連合会(医機連)、医療機器センター、日本医師会など、関係機関や地域支援機関が総がかりになって、特に事業化の知見がある伴走コンサル人材の発掘・育成を進めています。

 現在を第2ステージとすれば、次の第3ステージも見据えておきたいと考えています。第3ステージでは“事業性の見極め方”、言い方を変えれば“原石の磨き方”が重要になると見込んでいます。その点では、例えば、大阪大学、東京大学、東北大学が2015年6月に発表した「ジャパン・バイオデザインプログラム」は、スタンフォード大学のバイオデザインプログラムを基に、国内で医療機器イノベーションをけん引する人材を育成することを目標とした取組です。このような取組を通じて、“原石の磨き方”をよく知った人材が増えていくことも期待しています。

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