米国撤退の三菱自動車、タイで新型「パジェロスポーツ」を発表:車両デザイン
三菱自動車は、中型SUV「パジェロスポーツ」の新モデルをタイで初披露した。米国での生産終了を発表したばかりの同社にとって、タイで生産する新型パジェロスポーツは、グローバル展開する重要な戦略商品となっている。
三菱自動車は2015年8月1日(タイ時間)、タイで会見を開き、中型SUV「パジェロスポーツ」の新モデルを披露した。7年ぶりのフルモデルチェンジとなり、同年秋にタイで発売する。その後、オーストラリア、東南アジア、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどに順次展開を拡大し、現行モデルと同様に約90カ国で販売する計画である。
同社は2015年7月27日に米国での生産終了を発表しており、日本をはじめタイ、フィリピン、中国などアジア地域に生産拠点を集中させる方針を明らかにしたばかり。タイの100%子会社であるミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)のラムチャバン工場で生産する新型パジェロスポーツは、2014年11月発表の新型「トライトン」とともに、グローバル展開する重要な戦略商品となっている。
排気量2.4lクリーンディーゼルに新開発の8速ATを組み合わせ
新型パジェロスポーツのフロントフェイスデザインは、大幅改良を行った「アウトランダーPHEV」と同じく、歴代の「パジェロ」で培ったデザインを継承/進化させた「ダイナミック・シールド」を採用。「従来のクロスカントリー系SUVと一線を画す、スポーティーさとダイナミックさを併せ持つ上質でスタイリッシュなデザイン」(三菱自動車)とした。内装は、上級SUVにふさわしいハイコンソールプロポーションを採用し、ダイナミックなシルバー加飾や立体的な造形のシートなどにより高級感を演出している。
エンジンは、新型トライトンで採用した排気量2.4l(リットル)のクリーンディーゼルエンジンを搭載している。これに、新型パジェロスポーツ向けに新開発した8速ATを組み合わせることで、現行モデルと比べて燃費を約17%向上している。2016年1月からタイで施行される新税制において、CO2排出量の最低税区分に適合する200g/km以下を達成したとしている。四輪駆動システムは、パジェロと同じ「スーパーセレクト4WD II」を用いる。
安全システムも、合計7つのエアバッグの他、衝突被害軽減ブレーキシステムや誤発進抑制制御システム、三菱自動車初となる後側方死角警報システムを採用している。さらに、同じく三菱自動車初となる電動パーキングブレーキ、マルチアラウンドモニター、前席左右の温度調整オートエアコンも装備に加えた。日米欧で販売していない車両としては、従来にないレベルで装備を充実させることで「上質なSUV」としての地位確立を目指したい考え。
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