無償CNCツールで気の利いたGコードを作成する方法:ママさん設計者がやさしく教える「CNCフライス超入門」(4)(6/6 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者がCNCフライスの特長や魅力、使い方を分かりやすく解説する連載。第4回はCADデータを基にGコードを作成する。
全ての加工についてツールの割り当てが済んだら、続いてGコード作成のオプション設定を行います。
「Gコード」→「作成オプション」と進むと「Gコード作成設定」ウィンドウが出ます。今回は、この中の「ツール交換時停止」にチェックを入れ、仕上げ項目の「水平平面の仕上げ加工」にもチェックを入れます。それから、今回「センタードリル」は使わないのでチェックを外します(図35)。
ここまでできたら、Gコードとのご対面まであと一歩です。「Gコード」→「Gコード作成」へと進みます(図36)。
そして、クリックをすると……(この瞬間だけはちょっと緊張しますね。)、英語のメッセージが出てきます!(図37)
正直ビビりますが、単に「ファイルを保存する?」と尋ねているだけ(※)なので、「はい」をクリックします。
「名前を付けて保存」ウィンドウが現れるので、「nameplate」と入力して「保存」をクリック(図38)。
めでたくGコードが作成されると、このウィンドウが出ます(図39)。
ここには加工所要時間が表示されています。「311min,54sec」ということは、「今回の加工には大体5時間かかる」と考えているようです。G-Simpleがそう言うなら、“一応”目安にしておきましょうか。
「OK」すると、自動的にCNCファイルが保存されます(図40)。
出来たてのGコードを確認してみましょう。「Gコード」→「実行」をクリック(図41)。
「Gコードプログラム」ウィンドウが現れるので、それを画面の片側に寄せて、ワークの絵と並べます(ワークの向きはお好みで)。
その状態で、「実行」をクリックすると、プログラムが走りだすと同時にアニメーションが始まります(図42)。
プログラムの実行状況をアニメーションで確認できるので、「Gコードが、今どんな命令を出しているのか」が大体分かるのではないでしょうか。ツール交換時には再生が一時停止しますので、その都度「実行」をクリックしてプログラムを先に進めてください(図43)。
いかがでしょうか。「無償だからと侮るなかれ!」ですね。G-Simpleは、軌跡だけのGコードではなく、ちゃんとツールの直径を考えて気の利いたGコードを出してくれるのです。特に「Gコード作成からのシミュレーション」は結構面白いので、いろいろな設計データを作って切削条件を変えたりして遊んで、G-Simpleに慣れましょう。
次回は、Gコードについて少し詳しい説明を交えつつ、CNCソフトへの取り込みと切削の準備について説明します。
Profile
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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