第2世代「R-Car」の評価ボードが出そろう、コードネームはビールで統一?:車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは、車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の第2世代品でハイエンド向けとなる「R-Car H2」を搭載する、先進運転支援システム(ADAS)向け評価ボード「ADASスタータキット」の注文受付を開始した。
ルネサス エレクトロニクスは2015年7月16日、車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の第2世代品でハイエンド向けとなる「R-Car H2」を搭載する、先進運転支援システム(ADAS)向け評価ボード「ADASスタータキット」の注文受付を同年7月8日に開始したと発表した。RSコンポーネンツのWebサイトで注文可能な状態で、税抜き価格は15万1011円。出荷は2015年10月を予定している。
ADASスタータキットは、R-Carファミリの第2世代品の評価ボードでは最小となる10cm×10cmのサイズを実現している。メインメモリとして容量2GバイトのDDR3 SDRAM、64Mバイトのシリアルフラッシュメモリ(QSPI)を搭載する他、100Mbpsイーサネット、HDMI出力、ホスト機能を持つUSB 2.0インタフェース、マイクロSDカードスロットなどを備えている。また、PCI Expressなどをサポートする拡張コネクタと拡張ボードを用いれば、前後左右の車載カメラの映像を組み合わせて車両周辺の状態を確認できるサラウンドビューのためのカメラ接続も可能になる。
OSはThe Linux Foundationが開発を推進している組み込みLinux「Yocto Distribution」をサポートする。
高価な評価キットと安価な評価ボード
R-Carファミリの第2世代品は、2013年3月にハイエンド向けのR-Car H2、同年9月にミッドレンジ向けの「R-Car M2」、2014年10月にローエンド向けの「R-Car E2」を発表している。これら3品種には、本格的なシステム構築や機能統合を行う高価な評価キットが用意されている。
しかし、アプリケーションソフトウェアやミドルウェアの開発を促進するには、Texas Instrumentsの「PandaBoard」に代表される、より安価な評価ボードも必要になる。既に、R-Car M2とR-Car E2については、数万円レベルで入手可能な評価ボードが用意されていたが、今回のADASスタータキットの投入により、R-Carファミリの第2世代品は、高価な評価キット、安価な評価ボードともそろったことになる。
「R-Car E2」の発表時に明らかにした、第2世代「R-Car」の開発ボードのラインアップ。この時点では「R-Car H2」の安価な評価ボードの投入は未定だった(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
なお、これらの評価キットと評価ボードには以前から開発コードネームが付けられている。評価キットは、R-Car H2が「Lager(ラガー)」、R-Car M2が「Koelsch(ケルシュ)」、R-Car E2が「Alt(アルト)」、評価ボードは、R-Car H2が「Stout(スタウト)」、R-Car M2が「Porter(ポーター)」、R-Car E2が「SILK(シルク)」である。
既にお気付きの方もいるかもしれないが、これらはビールの種類を示す単語で統一されている。
関連記事
- ルネサスの第2世代「R-Car」が出そろう、「完全にスケーラブル」
ルネサス エレクトロニクスが、低価格帯の車載情報機器向けSoC「R-Car E2」を発表し、第2世代「R-Car」が出そろった。「ローエンドからミッドレンジ、ハイエンド、そして先進運転支援システム向けに至るまでの完全なスケーラビリティを実現した」(同社)という。 - 「自動車分野は中核事業」、ルネサスが9コア搭載の車載情報機器向けSoCを発表
ルネサス エレクトロニクスの車載情報機器向けSoC(System on Chip)「R-Car H2」は、合計9つのCPUコアを搭載するなど、車載情報機器向けSoCとして「世界最高性能」(同社)を実現している。「PowerVR G6400」による画像処理能力の高さを示すデモンストレーションも行った。 - ルネサスが次世代サラウンドビュー向けSoCを開発、全方位をリアルタイムで認識
ルネサス エレクトロニクスは、次世代サラウンドビュー向けSoC(System on Chip)「R-Car V2H」を開発した。同社の車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の技術を応用し、先進運転支援システム(ADAS)向けに展開する製品群の第1弾となる。 - 次世代の車載マイコンはルネサスにしか作れない
車載マイコン、車載情報機器向けSoCの世界シェアで圧倒的にトップに立つルネサス エレクトロニクス。東日本大震災による主力工場の被災や続くリストラの影響により、競合他社の攻勢に対して防戦一方の状況にあるかのように思える。実際にはどういう状況にあるのか。同社の執行役員常務で、車載分野向け製品担当の第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏に聞いた。 - ルネサスが語る、クルマを安全に制御する車載マイコンの“技術の四隅”
ルネサス エレクトロニクスが、自動運転を視野に入れた運転支援システム向けに開発した車載マイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」は、同社が「車載マイコンの技術の四隅」と呼ぶ、クルマを安全に制御する4つの技術課題をクリアしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.