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ルネサスが語る、クルマを安全に制御する車載マイコンの“技術の四隅”車載半導体(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスが、自動運転を視野に入れた運転支援システム向けに開発した車載マイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」は、同社が「車載マイコンの技術の四隅」と呼ぶ、クルマを安全に制御する4つの技術課題をクリアしている。

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クルマを安全に制御する4つの技術課題

 ルネサス エレクトロニクスは2014年11月6日、東京都内で会見を開き、自動運転を視野に入れた運転支援システム向けの車載マイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」を発表した。「RH850/P1H-C」と「RH850/P1M-C」の2グループで製品化し、2015年2月からサンプル出荷を始める。量産開始は2016年9月で、2020年1月時点の量産規模で月産200万個を計画している。ソフトウェアなどの評価に用いるエミュレーションデバイスのサンプル価格は10万800円。

 RH850/P1x-Cシリーズは、同年10月に発表したシャシーシステム向けマイコン「RH850/P1xシリーズ」(関連記事:ルネサスが「世界初」の40nmプロセス採用シャシー向け車載マイコンを出荷)の機能を拡張したハイエンド版の車載マイコンという位置付けになっている。主な用途は、レーダーや車載カメラといったさまざまなセンサー情報を統合的に判断するセンサーフュージョンや、多くのECU(電子制御ユニット)を統括するゲートウェイ、そしてRH850/P1xシリーズと同様にシャシーシステムとなっている。

ルネサスの大村隆司氏(左)と「RH850/P1x-Cシリーズ」(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 会見に登壇した同社執行役員常務で第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏は、「ルネサスの車載マイコンは、世界シェアが40%あり、車両1台に平均で10個搭載されている。お客さまからは、ルネサスの実績と高い品質だけでなく、日本を含めた世界の車載マイコンユーザーのニーズを把握していることについても評価をいただけている。今回発表するRH850/P1x-Cシリーズは、お客さまのニーズを基に作り上げた製品だ」と説明する。

 大村氏が「車載マイコンの技術の四隅」と呼ぶ、クルマを安全に制御する技術課題は4つある。1つ目は、スマートフォンや通信モジュールを使って“つながる”ようになったクルマの「セキュリティ」である。2つ目は、CANやLINのみならず、今後の採用が見込まれるCAN FDやイーサネットを用いた「ネットワーク」だ。3つ目の技術課題は、さまざまなセンサーからの情報をリアルタイムで処理する「センシング」。そして4つ目は、自動車向け機能安全規格であるISO 26262への準拠に代表される「セーフティ」である。

「RH850/P1x-Cシリーズ」がオールインワンで対応するクルマを安全に制御する4つの技術課題
「RH850/P1x-Cシリーズ」がオールインワンで対応するクルマを安全に制御する4つの技術課題(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 RH850/P1x-Cシリーズは、これら4つの技術課題にオールインワンで対応する、「車載の安全制御に向けた業界標準プラットフォーム」(大村氏)として開発された。これまで、センサーフュージョンやゲートウェイ、シャシーシステムの制御用ICは、それぞれ専用のマイコンやASICが用いられてきた。RH850/P1x-Cシリーズは、プロセッサコア数やメモリ容量、ネットワークのチャネル数などは異なるが、同じプラットフォームなのでソフトウェアの再利用が容易だ。大村氏は、「自動運転やセキュリティ、ISO 26262への対応などもあって、ユーザーは開発期間の短縮につなげられるソフトウェアの再利用性を重視するようになっている。そういったニーズがRH850/P1x-Cシリーズを製品化した背景になっている」と語る。

「RH850/P1x-Cシリーズ」が対象とする主な用途
「RH850/P1x-Cシリーズ」が対象とする主な用途(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

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