「四角いハコ型」じゃない新型「シエンタ」、デザインの秘密は“一筆書き”:車両デザイン(2/2 ページ)
初のフルモデルチェンジを行った新型「シエンタ」。最も目を引く、「四角いハコ型」を脱したデザイン変更のモチーフは“一筆書き”だったという。
遊びのあるパーツを“一筆書き”でまとめる
新型シエンタの開発コンセプトは“Active&Fun”。従来の四角いハコ型、というミニバンの概念を打ち破るため、トレッキングシューズをイメージし、機能性と動感を表現するデザインに仕上げた。
チーフデザイナーの郷氏は、「黒いバンパーガーニッシュから、バンプにつながるラインはこだわったポイント。黒いラインの滑らかなキレのある勢いで、ミニバンとは思えないような走りの良さを表現した。フロントリヤからは下側や外側のラインに目がいくことでクルマに安定感を感じさせ、地面に対するスタンスをよく見せるようにデザインした」とコメントした。
どの部位にも遊びを入れつつ、全体をまとめるために用いられたのは「一筆書き」のモチーフだ。書道で文字を書く際、たとえ離れた線に移動するときも“流れ”を意識する。新型シエンタも、「全てのラインが流れを持ってつながっていくことを意識してデザインした」(同社の説明員)という。サイドシルエットを見ると、ヘッドランプから車両後部にかけて、1本のラインを意識してデザインされていることが分かる。広い内装や、床の低さに引っ張られない軽やかなデザインは、この一筆書きの手法によるところが大きい。
ボディカラーは全部で13パターン
ボディカラーは新しく開発されたという「エアーイエロー」を中心とする通常色8色と、「FLEX TONE」5色の13パターンを用意する。FLEX TONEはフロントグリル、バンパーなどにアクセントカラーを加えたカラーバリエーションを指し、前述したエアーイエローベースのFLEX TONEには青がアクセントとして使われ、より鮮やかな印象となる。「より目を引くスタイルになるよう、インテリアにも随所にアクセントカラーを入れている」とチーフエンジニアの粥川氏は述べている。
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