フォーミュラEでワイヤレス給電目指すクアルコム、“小さな実験”の意味は?:電気自動車(2/2 ページ)
電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」の2014〜2015年シーズンが幕を閉じた。フォーミュラEの技術パートナーであるクアルコムは、次シーズンでレースカーへのワイヤレス給電導入を目指しているが容易ではなさそうだ。しかしその意気込みを示すために“小さな実験”を行っている。
ワイヤレス給電導入への意気込みを示す「小さな実験」
クアルコムは、次の2015〜2016年シーズンのフォーミュラEで、レースカーへのHaloの導入を目指している。しかし、開幕まで残り5カ月しかないこともあって、Haloの導入時期は「future seasons(将来のシーズン)」という弱められた表現になっている。
それでも同社のワイヤレス給電導入への意気込みは強い。その意志の表れとして、「little experiment(小さな実験)」と呼ぶデモンストレーションを行った。
それは、フォーミュラEのレースカーである「スパーク・ルノー・SRT_01E」と、ワイヤレス給電技術を組み込んだ10分の1サイズのラジコン(RC)カーとの対決である。
なお、このRCカーに用いられているワイヤレス給電技術はHaloではなく、スマートフォンなどのモバイル機器向けにクアルコムが展開している「WiPower」になる。またRCカーはスマートフォンのタッチパネルで操作できるようになっている。
レースカーのスパーク・ルノー・SRT_01Eに搭乗するのは、中国・北京で行われたフォーミュラEの第1戦で優勝した、「アウディ スポーツ ABT」チームのルーカス・ディ・グラッシ氏。対するRCカーは、クアルコムがストラテジックパートナーを務めるロボット競技会「FIRST Robotics」の参加チームから選んだ女子高校生のエミリー・カブレラさんだ。
対決の内容は1分強でまとめられた映像で確認できる。
当たり前だがスピード勝負では比較にならないので、スピン勝負ということになったようだ。
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