鯖江から世界に飛び出す“かっこいい老眼鏡”、自社ブランドで起こした革新のカギ【後編】:zenmono通信(3/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。前編に引き続き、今回も西村プレシジョンの西村昭宏氏の話をお伝えする。
「作って売る」から一歩進めて新しいサービスを
enmono 現在、新しいビジネスプランを考えていらっしゃるんですよね。
西村氏 はい。ペーパーグラスを使った老眼鏡のパッケージサービスを始めます。ペーパーグラスをただ作って売るだけじゃなく、サービス化しようという狙いです。
西村氏 老眼鏡が必要な方がホテルなどに宿泊する時、「老眼鏡を持ってくるのを忘れた」というケースはよくあると思います。ホテル側はそういう方のために老眼鏡を常備していて、サービスとして貸し出しています。でもその時に貸し出す老眼鏡は、程度の低い100円ショプものが多い。こうした老眼鏡を超一流ホテルがサービスとして貸し出してるわけです。
1泊十数万円する宿に泊まっている顧客に対して、老眼鏡のサービスの質がすごく低い。要は老眼鏡の商品価値って世の中からすごく低く見られているんです。でも、実際そうじゃないでしょうと。きっと顧客は喜んでないですよね。だからこうした老眼鏡の貸し出しサービスもわれわれのペーパーグラスという商品を使って革新していきたいと考えたんです。ペーパーグラスをホテルに買ってもらうのではなく、レンタル料を月々いくらで契約して、われわれがそのメンテナンスもするという形です。
enmono メンテナンスもちゃんとやってくれるというのは重要ですね。
西村氏 はい。常に品質のいい老眼鏡サービスを提供できるようなサポートも含めて、パッケージサービスとして提供していきます。今後はこうした小売業から一歩進んだサービス業にも注力していきたいなと思っています。
enmono これは非常に参考になる事例で、マイクロものづくりというと売って終わりっていう発想が多い。でも西村プレシジョンは売るだけでなくサービスとして提供して、さらにそこから収益を得る。しかもメンテナンスも提供することで、ユーザーに常に快適なペーパーグラスを使ってもらえるというのはいうのはブランド力の向上にも貢献しますよね。このサービスはもうスタートしているのでしょうか。
西村氏 今モニターとしてホテルやミュージアムなどの数カ所で利用していただいています。お互いに協力しながら料金を含めたサービスパッケージを作っていってる段階で、2015年の春〜秋にかけて正式にリリースしていきたいと思っています。
もちろんレンタルで使っていただいた後に、購入したいという方が必ず出てきますので、その場ですぐに販売できるような仕組みも提供していきます。そうすることでホテルやミュージアムを含め、高度なサービスを顧客に提供しているサービス業の方々が、より良いサービスを提供できることにもつながる。いろいろなサービス業の方に興味をもっていただいている状況です。
日本のものづくりの未来
enmono 最後に「日本のモノづくりの未来」について、西村さんの思いをお願いいたします。
西村氏 日本のモノづくりってこれまでは「品質がいい」とか「安心・安全」がお題目だったと思うんです。でもそれって結局当たり前ですよね。でもこうした当たり前がベースにあるというのはものすごい強みです。さらに日本だけでなく世界中の人に「日本製って欲しい」「いいよね」と思ってもらえるようなブランド作りをしていけば、日本のものづくりの未来は明るいのではないかと思っています。
enmono そのためには、モノはいいんだから目指すべきところと軸を作って、しっかりとブランディングしてあげることが重要ということですよね。
西村氏 そういうことです。
enmono あと若いウチにバックパッカーをしろと。
一同 (笑)。
西村氏 それはやった方がいいと思います。
enmono ということで西村さん、今日はどうも貴重なお時間をありがとうございました。
西村氏 ありがとうございました。
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