クリーンディーゼルへ展開を広げるトヨタの「高熱効率・低燃費エンジン群」:エコカー技術(6/6 ページ)
トヨタ自動車が新開発した排気量2.8l(リットル)のクリーンディーゼルエンジン「1GD-FTV」は、同社が2014年4月から展開を始めた「高熱効率・低燃費エンジン群」の1つである。本稿では、1GD-FTVの開発コンセプトや採用した新技術を解説しよう。
「GDエンジン」のグローバル展開を開始
4つの開発コンセプトに基づく3つの取組みによりGDエンジンは完成した。1GD-FTVは、乗用車用ディーゼルエンジンとして世界トップとなる44%という最大熱効率を達成している。その一方で、排気量の低減により、排気量3.0lの1KD-FTVと比べて約30%の小型化を実現した。またGDエンジンとして、排気レイアウトをKDエンジンの18種類から3種類に集約するなどしてグローバル展開を行いやすくした。
さらに加速能力も、エンジン低回転時は「トヨタ次世代高断熱ディーゼル燃焼」の効果により1KD-FTV比で42%、中回転時は新開発ターボチャージャーの効果により同53%向上している。加速時のエンジン燃焼音の大きさも、エンジン始動時などの低回転時で最大3dB低減。ディーゼルエンジンの課題である静粛性の向上に一役買っている。
1KD-FTVの仕様は以下の通り。排気量は2.8lで、エンジン気筒の内径×行程は92×103.6mm、圧縮比は15.6である。最高出力は130kW(3400rpm)、最大トルクは450Nm(1600〜2400rpm)、1200rpmという低速時のトルクも370Nmを確保している。一方、排気量が2.4lと少ない2KD-FTVは、1KD-FTVとエンジン骨格は共有している。エンジン気筒の内径×行程は92×90mmで、圧縮比は15.6。最高出力は100kW(3400rpm)、最大トルクは400Nm(1600〜2400rpm)、1200rpmの低速時トルクは330Nmになっている。
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