IoTのビジネスチャンスをどう見つけるか?:製造業のためのサービスビジネス入門(4)(2/2 ページ)
IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。4回目となる今回はサービスビジネスにおけるマーケティング戦略について解説してきます。
IoTにおけるターゲット市場の捉え方
前回は、顧客満足度に対する考え方について記載しましたが、今回はマーケティング戦略ですのでサービスビジネスにおけるターゲット(対象)市場について考えてみます。
サービスにおけるターゲット市場の捉え方として、従来のモノにおけるターゲットの考え方に、対象としているのは、モノかヒトか、それは有形か無形かという項目を加えて、4象限に分類することが出来ます。整理しますと次のようになります(図2)。
さて、ここでIoTの発展によって、どのようなサービスが提供されているかを見てみましょう。例えば「インフラなどの保守・保全を遠隔地から行えるサービス」「生産工場の適正操業や稼働支援」「在庫調整をはじめとするサプライチェーン・マネジメント(SCM)の運用支援」など、本連載の中だけで見てもさまざまなサービスが登場しています。IoTの活用はまだ始まったばかりで、これからもますます新たなサービスが登場してくるでしょう。
一方で、こうしたさまざまなサービスを上記の4象限に照らし合わせて見てみると、圧倒的にモノに関わる領域でのサービスが多く、一方で「ヒト−無形領域」については少ない傾向にあります。IoTは製造業での活用が進んでいますから、モノが対象となるのは当り前の話ではあります。ただ昨今の「働きがい」を重視する労働環境や、技術伝承に関する話題を考慮した場合、ヒトに関連した領域でのIoT関連サービスのビジネスチャンスも増えてくると思います。
人間と機械の協力領域をどう捉えるか
前回紹介した顧客満足度の視点でいえば、作業者の精神的負担の軽減や、広い意味での事業リスク低減と言った部分になります。例えば、シミュレーション形式でオペレーターが数値を設定すると予想値を返し、コンピュータが設定値との乖離を示してオペレーターに教育的な効果を提供するサービスなども存在してよいのではないかと思います。
冒頭に紹介した将棋の電王戦ですが、それまで2年連続でコンピュータに負けていたプロ棋士が、2015年には勝利しました。なんとコンピュータ側に駒が通常は成る場面で成らなかった場合に対応できないというソフト上の欠陥があったのです(駒が「成る」とは敵陣に入ったときに駒が従来とは異なる動きができるようになることをいいます)。製造業でもIoTが登場して数年の現時点では、まだまだ人間の勘と経験が勝る部分も多く、またIoTの不具合もまだまだ多いということを象徴しているようにも見えます。
「事業は人なり」といいますが、IoTの活用が人材育成にもつながり、機械と人間がともに切磋琢磨して事業の発展につながることが現段階での理想の姿ではないでしょうか。4C+7Pについては次回以降でもさらに掘り下げていきたいと思います。(I'll be back)
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