排気量0.8lの2気筒ディーゼルエンジン「E08A型」、圧縮比を15.1に低減:エコカー技術
スズキは、小型車向けで軽量かつコンパクトな排気量0.8l(リットル)の2気筒ディーゼルエンジン「E08A型」を開発したと発表した。インドの子会社であるマルチ・スズキ・インディアが生産/販売するインド国内市場向けの小型車「セレリオ」に搭載する。
スズキは2015年6月3日、小型車向けで軽量かつコンパクトな排気量0.8l(リットル)の2気筒ディーゼルエンジン「E08A型」を開発したと発表した。インドの子会社であるマルチ・スズキ・インディアが生産/販売するインド国内市場向けの小型車「セレリオ」に搭載する。
E08A型は、直列2気筒でDOHC8バルブのインタークーラーターボディーゼルエンジンである。気筒は内径(ボア)77.0×行程(ストローク)85.1mmで、圧縮比は15.1。最高出力は35kW(3500rpm)、最大トルクは125Nm(2000rpm)となっている。
シリンダーブロックの材質にアルミニウムを採用するとともに、2気筒エンジンに適した小型の燃料供給システムとターボチャージャーを搭載することで軽量化を実現。ディーゼルエンジンの燃焼効率の向上に有利な低圧縮比化と大型インタークーラーの採用により、低回転域における大きなトルクと燃費性能を両立した。また、フライホイールを最適化することで2気筒ディーゼルエンジン特有の低周波振動を軽減した。
さらにセレリオへの搭載に当たり、エンジンの取り付け方法や車体剛性の最適化、吸音材の追加などを行い、エンジンから伝わる低周波振動や燃焼音を軽減して、快適性の向上を図った。E08A型を搭載するセレリオの燃費は、インド基準でトップとなる27.62km/lを達成したという。
スズキはこれまで、ディーゼルエンジンについては、Fiat(フィアット)グループからOEM供給を受けていた。インドのスズキ車に搭載されてきたディーゼルエンジンは、排気量1.3lの直列4気筒がほとんどで、セレリオのようなAセグメントの小型車に適しているとは言い難い。そこでスズキは、小型車の需要が大きいインドを中心とする新興国市場向けを念頭にディーゼルエンジンの自社開発を進めていた。今回発表したE08A型がその第1弾となる。
なお、フィアット製の排気量1.3l直列4気筒ディーゼルエンジンの圧縮比は16.8。これに対してE08A型の圧縮比は15.1で、1.7も低圧縮比化に成功したことになる。
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