トヨタはスマホと車載機の連携基盤もオープンソース、AppleとGoogleに対抗:車載情報機器
トヨタ自動車は、車載情報機器上でスマートフォンアプリを利用するためのプラットフォームとして「スマートデバイスリンク(SDL)」の採用を検討している。同様のプラットフォームに、Appleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」があるが、SDLはオープンソースである点で異なる。
トヨタ自動車は2015年6月3日、Ford Motor(フォード)、その子会社Livio(リビオ)と、カーナビゲーションシステムなどの車載情報機器とスマートフォンアプリを連携する機能として「Smart Device Link(SDL:スマートデバイスリンク)」を導入するための検討に入ることで合意したと発表した。市販車への搭載時期については明らかにしていない。
SDLは、スマートフォンのアプリを車載情報機器上で利用可能にするプラットフォームである。フォードは、同社の車載情報機器「SYNC」でSDLを「AppLink」として採用している。また、車載情報機器の標準化団体GENIVIに、SDLをオープンソースソフトウェアとして提供している。リビオはSDLの開発企業で、2013年9月にフォードに買収されていた。
なお、今回の合意は、トヨタ自動車とフォードが2011年8月に締結した、次世代車載テレマティクスの標準化に関する協業に基づくものとなっている。
「スマートフォンのアプリを車載情報機器上で利用可能にするプラットフォーム」として広く知られているのが、Appleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」である。SDLで実現できることは、機能面でCarPlayやAndroid Autoとほぼ変わらない。
ただしSDLは、CarPlayやAndroid Autoとはオープンソースである点で異なる。オープンソースのSDLをベースに開発した車載情報機器向けスマートフォンアプリは、複数の自動車メーカーの車載情報機器に対応可能なので、例えばCarPlayとAndroid Autoに両対応させるよりも開発期間を短縮できる点でメリットがあるとしている。
トヨタ自動車の取締役で専務役員の寺師茂樹氏は、「車載用のスマートフォンアプリ市場が急速に成長する中、高性能で使いやすい『つながる』サービスを通じ、安全に配慮しつつクルマの『楽しさ』をお客さまに提供すべく、新技術に日々取り組んでいる。SDLに携わるフォードやリビオなどとその思いを共有できていると確信している」と語っている。
トヨタ自動車は、車載情報機器自体についても、オープンソースプロジェクトの「Automotive Grade Linux」で開発中のプラットフォームを採用する方針である。今回のSDLの採用検討により、トヨタ自動車は、車載情報機器の開発においてオープンソースを重視する姿勢をより鮮明にしたことになる。
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