戦場はリビングルーム、音声アシスタントを巡る競争で日本勢に遅れ:スマートホーム(2/2 ページ)
いわゆる「スマートホーム」を目指す各社の取り組みで、AppleやGoogle、Microsoftなどが注目しているのが、音声コントロールだ。「Amazon Echo」や「Nest」「Homekit」などで欧米各社が実用化に向けて走り出す中、日本企業は出遅れているとの声がある。
日本企業ではソニーがプレイステーション4に音声コントロールを追加、IoTデバイスを開発製造する合弁会社「Qrio」を設立するなど動きを見せているほか、パナソニックもスマート家電戦略に着手、その一環として国産ベンチャーであるCerevoとの協業を行うなど、スマートホーム事業は活発化しつつあると指摘するが、今のところ、日本の住宅メーカーやIT各社の動きは先行する欧米各社に比べて表面化しておらず、リビングにおける主役争いはAmazon/Google/Apple/Microsoftを中心にした動きになるだろうと予測する。
ただ、AmazonやGoogleなどが音声コントロールを武器に日本のリビングも席巻するかというと、そう簡単にはいかないだろうと中村氏は言う。その最大の問題が「話すこと」だ。テレビやセットトップボックス、スピーカー、あるいは無人の室内に向かって、「エアコン付けて」「照明を消して」と話しかけることは、いくらリモコンを探す手間が省けるとはいっても、今の私たちの感覚からすれば不自然だ。
音声アシスタントの浸透について「音声認識の利用数は増えているし、(音声を活用した)技術に慣れることは、文化的なことだ」と音声アシスタント技術を提供する側は述べるが、慣れるまでにどれだけの時間が必要なのか、また、慣れについて、日米の差はあるのか。こればかりはAmazon Echoなどが国内で販売開始されないことには答えが出ないだろう。
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