中国市場で勢いを見せつけるフォルクスワーゲン、グループ内抗争の影響は軽微:上海モーターショー2015 リポート(3/3 ページ)
中国市場で苦戦する日本の自動車メーカーに対して、大きな成功を収めているのがフォルクスワーゲングループだ。2015年4月開催の「上海モーターショー(オート上海)2015」では、国際格のモーターショーの前夜に開催される「フォルクスワーゲングループナイト」を開催し、同グループの中国市場に対する意気込みを示した。
高級車ブランドのCEOも勢ぞろい
さらに、中国市場が地域別の売上高で2番目のLamborghini(ランボルギーニ)ブランドからは、約50kgも軽量化したボディに、最高出力が+50psの750ps(552kW)までパワーアップしたエンジンを搭載する進化版の「アヴェンタドールLP750-4SV」が発表された。パワーウェイトレシオは、驚きの2.03ps/kgを誇る。時速0〜100の加速を2.8秒でこなし、最高時速350kmを記録する。中国に上陸してからわずか10年間での成長著しいこともあって、同ブランドCEOのステファン・ヴィンケルマン氏自らが登壇して熱心なプレゼンテーションを行っていた。
経済の成熟とともに、高級車市場も成長しつつあることもあって、フォルクスワーゲングループの高級車ブランドはワールドプレミアのないブランドのCEOもそろい踏みしていた。ポルシェブランドからは、イエローのボディカラーが鮮やかな「ケイマンGT2」とCEOのマティアス・ミュラー氏、Bentley(ベントレー)ブランドからはグリーンのボディを纏った「スピード6」、Bugatti Automobiles(ブガッティ)ブランドからは世界最速をうたう「ヴァイロン16.4スーパースポーツ」、そして両ブランドのCEOを兼務するウォルフガング・デュルハイマー氏、スーパーバイク選手権などの活躍で世界的に知られる高級バイクブランドDucati(ドゥカティ)CEOのクラウディオ・ドメニカーリ氏といった顔ぶれだ。
ヴィンターコルン氏の締めのあいさつと会長のピエヒ氏が不在だったことをのぞけば、ジュネーブ、フランクフルト、パリといった国際格のモーターショーの前夜祭と同じ顔ぶれがそろった格好だ。2014年は1000万台以上を販売し、1270万ユーロの利益を出したフォルクスワーゲングループだが、今や、ドイツ本国をはるかに超える販売台数の中国市場抜きでは、ビジネスを語れないということだろう。
筆者紹介
川端由美(かわばた ゆみ)
自動車ジャーナリスト/環境ジャーナリスト。大学院で工学を修めた後、エンジニアとして就職。その後、自動車雑誌の編集部員を経て、現在はフリーランスの自動車ジャーナリストに。自動車の環境問題と新技術を中心に、技術者、女性、ジャーナリストとしてハイブリッドな目線を生かしたリポートを展開。カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の他、国土交通省の独立行政法人評価委員会委員や環境省の有識者委員も務める。
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