トヨタ中国攻略の切り札、ハイブリッド車は「新エネルギー車」になれるのか:上海モーターショー2015 リポート(1/4 ページ)
フォルクスワーゲンやGMといったライバルに対して、中国市場での出遅れ感が否めないトヨタ自動車。巻き返しの切り札として期待しているのが、中国現地で開発から生産までを一貫して行ったハイブリッド車だ。都市部での購入が促進されている電気自動車などと同じ「新エネルギー車」として認められれば、同社の反転攻勢のきっかけになるかもしれない。
世界1位を争う上で無視できない中国市場
Volkswagen(フォルクスワーゲン)、General Motors(GM)、そしてトヨタ自動車。年間1000万台の販売規模を持つ自動車メーカーとして世界1位を巡って競合する3社のうち、中国で年間400万台の生産を宣言するフォルクスワーゲン、中国での年間販売台数が350万台を越えるGMに対して、トヨタ自動車は中国戦略で出遅れた感がある。
2014年には、高級車ブランド「紅旗」の生産能力強化など第一汽車集団との提携強化や、他の提携先である広州汽車集団との合弁を含めてようやく販売台数で100万台を越えたにすぎない。中国の経済成長に陰りが見える昨今、中国市場に依存する危険性も指摘されているものの、世界1位を争う規模の自動車メーカーの成長戦略において、巨大な内需をかかえる同市場が重要な位置を占めるのは当然のことだ。
トヨタ自動車が中国市場における出遅れを取り戻す可能性があるとすれば、中国の都市部で着々と進む排気ガス規制に合わせた、「新エネルギー車(新エネ車)」促進法制への対応に鍵がある。同社は、「上海モーターショー(オート上海)2015」の開幕前日に当たる2015年4月19日に「双撃之夜」と題した前夜祭を開催。同社最大の強みであるハイブリッド車を、中国で開発・生産する戦略を大々的に発表した。
トヨタ自動車としては、2005年に日本以外で初となる中国現地での「プリウス」の生産をスタートし、2010年には「カムリ ハイブリッド」の生産も開始している。しかし今回の発表のように、ハイブリッド車の開発から生産までを一貫して国外で行うのは、初めてのケースとなる。
今回、中国市場に投入するハイブリッド車は2車種。「カローラ ハイブリッド」と「レビン ハイブリッド」で、2015年秋以降に販売を開始する予定だ。研究開発の拠点となったトヨタ自動車研究開発センター(中国)有限会社(TMEC)は、開設当初からトヨタ自動車会長の内山田竹志氏が関わっていることもあり、同氏の思い入れもひとしおのようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.