トヨタ中国攻略の切り札、ハイブリッド車は「新エネルギー車」になれるのか:上海モーターショー2015 リポート(2/4 ページ)
フォルクスワーゲンやGMといったライバルに対して、中国市場での出遅れ感が否めないトヨタ自動車。巻き返しの切り札として期待しているのが、中国現地で開発から生産までを一貫して行ったハイブリッド車だ。都市部での購入が促進されている電気自動車などと同じ「新エネルギー車」として認められれば、同社の反転攻勢のきっかけになるかもしれない。
「初代『プリウス』の開発にも匹敵する技術イノベーション」
実際、翌日の2015年4月20日に開催されたオート上海2015プレスデー初日の記者発表でも、そのことに触れていた。TMECが開発拠点の中心となって、提携先である第一汽車集団と広州汽車集団の研究開発部門やサプライヤとともに開発を進め、バッテリー、インバータ、トランスアクスルといったハイブリッドの基幹部品について、中国内での国産化を実現したという。
初代プリウスの開発者としてプレスデー初日の会見に登壇した内山田氏は、「『できること』ではなく『すべきこと』への挑戦」をキャッチフレーズに掲げ、「地域ごとに異なる顧客ニーズにあったハイブリッド車を現地で開発生産することを目指す」とした。現地での開発・生産によってサプライヤまで一貫した高い品質を持たせ、さらに求めやすい価格で提供できるようにし、海外市場でもハイブリッド車を根付かせることを目標に据えている。
その最初の舞台として、トヨタ自動車は中国を選んだ。開発には260人以上の中国人技術者が関わったという。中国におけるハイブリッド車の現地開発・現地生産は、トヨタ自動車の中国事業の理念を形にしたものであり、「初代プリウスの開発にも匹敵する技術イノベーションだ」(内山田氏)ともうたっている。さらに中国には、日本に匹敵するレベルの優秀な技術者が大勢いて、時には情熱面で日本人技術者に勝るシーンもあったという。
プレスデー2日目には、トヨタ自動車の専務役員で中国本部長を務める大西弘致氏が記者会見を行った。
「中国市場専用のカローラは、収益性も高く、重要なモデルです。中国では環境問題への対応についての要求が高まっており、それに応えることが重要です。よりよいクルマを作るための方針として新たに『TNGA(Toyota New Global Architecture)』という考え方を導入しました。部品の共通化によるコストや工数の削減と併せて、『基本性能やデザイン性の向上』『価格競争力向上』『品質確保』を実現するための開発工数を創出することで『商品力の向上』を目指すものです。加えて、中型セダン以上でもハイブリッド車を増やしていくことが、今後の戦略の鍵となります」(大西氏)
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