「サイバーナビ」の車載音楽ストリーミング機能、「MIXTRAX」で差異化:車載情報機器(2/2 ページ)
パイオニアは、レコチョクと共同開発した車載情報機器向けの音楽ストリーミング機能「ミュージッククルーズチャンネル」と、同機能を搭載したカーナビゲーションシステム「サイバーナビ」の2015年夏モデルを発表した。約100万曲の楽曲から、ドライブの状況や目的に合わせてレコメンドする機能が特徴の1つだが、パイオニアは独自技術「MIXTRAX」によって差異化を果たしたという。
クルマに音楽を持ち込む必要がなくなる
ミュージッククルーズチャンネルは、スマートフォンの所有と常時通信接続が当たり前になった現在だからこそ生まれたサービスだ。オーディオ開発を出自とするパイオニアは、カーナビのエンターテインメント機能について、音楽の「高音質の再生」や「クルマにおけるさまざまな音楽の楽しみ方」にこだわって開発してきたという。しかし、音楽を格納するメディアとしては、CDやHDD/内蔵メモリ、USBメモリ/SDメモリーカード、iPodなどに代表される音楽プレーヤーなど、ユーザーが所有する楽曲だけが対象だった。
これに対してミュージッククルーズチャンネルは、専用アプリを組み込んだスマートフォンとサイバーナビをBluetoothでペアリングしてしまえば、約100万曲というレコチョクのreplayで提供される楽曲を、クルマの中に直接持ち込むことなく楽しむことができる。また、パイオニア商品統括部で事業企画部の部長を務める田中修氏は、「ドライブでは、その時の状況や目的に合った曲を流したいが、事前に準備するのは大変。ミュージッククルーズチャンネルでは、そういった準備がなくても最適な楽曲を流せるようにレコメンド機能を充実させた」と強調する。
レコメンド機能そのものは、レコチョクが提供するreplayにも用意されている。パイオニアは、replayで提供される約100万曲の楽曲に対して、同社の独自技術である「MIXTRAX」を使って楽曲の内容を解析し、より詳細な属性情報を付与した。この属性情報を基に実現した音楽レコメンドシステム「ダイレクトリンクプレイ」が、ミュージッククルーズチャンネルの柱になる。
ミュージッククルーズチャンネルでは、定期更新によって約50チャンネルが提供される「特選チャンネル」、再生中の楽曲の属性情報を基に最大24種類のチャンネルを提案する「レコメンドチャンネル」、気に入ったチャンネルを登録したりして作成する「マイチャンネル」を選択できる。
中でもレコメンドチャンネルのGUIは、道路の車線変更を行うイメージで音楽チャンネルの変更操作ができるようになっている。現在選択している音楽チャンネルは走行中の車線、再生中の楽曲の属性情報とリンクする3つの音楽チャンネルが、変更可能な他の車線というイメージになっている。「ドライバーによる操作が最低限で済ませられるようにGUIを工夫した」(田中氏)という。
この他、カーナビと連携するスマートフォンのディスプレイや、車室内の天井に設置するフリップダウンモニターなどに楽曲の歌詞を表示したり、MIXTRAXによる属性情報を基に楽曲と楽曲をシームレスにつないでノンストップミックス再生したりする機能なども用意している。
「楽ナビ」でも「ミュージッククルーズチャンネル」が利用可能に
サイバーナビ2015年夏モデルの目玉機能であるミュージッククルーズチャンネルだが、今後はより安価な「楽ナビ」でも利用できるようになる見通しだ。田中氏は、「より多くの方にこのサービスを利用していただけるように環境を整えていきたい。また、音楽ストリーミングサービスを提供している企業は海外にも多数ある。国内市場向けのミュージッククルーズチャンネルのノウハウを生かせば、同様の機能を当社の海外市場向けカーエレクトロニクス製品に搭載できるのではないかと考えている」と述べている。
関連記事
- なぜ映像が浮かび上がるの? 近未来のカーナビが登場した
近未来のカーナビが登場した。それはパイオニアが開発した「サイバーナビ」。ルート情報が走行風景と重なって見えるモノだが、本当に安全なのだろうか。実証実験を行った北里大学の教授とパイオニアの開発担当者に話を聞いた。 - 未来に追いついた? 映画や漫画に出てきそうなカーナビ
パイオニアがカーナビ向けに開発したHUD(ヘッドアップディスプレイ)が大きな反響を呼んでいる。「『ドラゴンボール』に出てくるスカウターのようだ」「『宇宙兄弟』に出てくる宇宙ナビのようだ」……。漫画やSFに出てきそうなこのカーナビ、開発にはどのような苦労があったのか。同社の開発担当者に話を聞いた。 - 「サイバーナビ」はプローブ情報で進化する、「カメラプローブ」とは何か
カーナビの渋滞予測サービスなどに用いられているプローブ情報。パイオニアは、このプローブ情報を活用して、同社の「サイバーナビ」に新たな機能を追加した。その新機能「スマートループ アイ」はどのようにして誕生したのか。また、ビッグデータとも見なされるプローブ情報をどのように活用しようと考えているのか。担当者に聞いた。 - パイオニアがスマホカーナビと連携可能なディスプレイオーディオを発売
パイオニアは、NTTドコモのスマートフォン向けカーナビゲーションアプリ「ドコモ ドライブネットナビ」と連携できるタッチパネル搭載2Dメインユニット3機種を発表した。 - 「Android Auto」「CarPlay」両対応の市販カーナビが欧米で発売、日本は未定
パイオニアは、「2015 International CES」において、「Android Auto」に対応する市販カーナビゲーションシステムを発表。Appleの「CarPlay」にも対応しており、2015年3月に北米市場に投入後、欧州やオーストラリアなどにも展開を拡大する計画。日本での対応時期は未定だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.