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インダストリー4.0は人間の仕事を奪うのかハノーバーメッセ2015 リポート(中編)(2/4 ページ)

ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」。本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する各社の動きを3回にわたってお伝えしている。中編の今回は「ロボットと人間との協調」への取り組みの紹介と、人間の果たすべき役割の変化について考察する。

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ユニオンとともに「働き方」を研究するインダストリー4.0

 モノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」において、ドイツ連邦政府の目的は2つあるといわれている。1つはインダストリー4.0によって強化された製造技術により、ドイツの製造業が強くなることだ。もう1つの狙いが、インダストリー4.0プロジェクトによって生み出された技術や規格などを“輸出”することにより、ドイツ企業が強くなるということだ。いずれもドイツの製造業強化を目指したものであり、これらが収れんする最大の目標は「ドイツ国内の雇用確保」ということになる。

 自動化により従来の人間が働いていた環境が奪われ、失業者が増えるというようなことは、インダストリー4.0の本来の目的とは異なっているといえる。「自動化」と「人の働き方」がぶつかり合う部分をどのように解決するかということもふまえて、インダストリー4.0の研究クラスタの中には、ユニオン(労働組合)も参加している点がこのプロジェクトの特徴的な点だ。

 企業や研究機関、ユニオンが一緒に「自動化が進んだ際の人の働き方はどうなるのか」や、それに伴い「社会制度や労働法などをどのように作り上げていくべきか」ということについて研究を進めている。つまり、「マスカスタマイゼーションの実現は目指すが、人とともに働く」という姿を追い求めているのがインダストリー4.0だといえる。

人と協調して働くロボット

 こうした流れの中で注目を集めたのが「人と協調して働くロボットたち」だ。ハノーバーメッセでは数多くの企業から、「人と協調して働くロボット」が出展され、多くの注目を集めた。

 スイスのABBは、人間と協力して働く双腕ロボット「YuMi」を出展した。YuMiは、人によるセル生産の効率化を目指し、人との共同作業を可能とした作業支援ロボットだ。本体そのものが軽量・コンパクトで生産ラインでの移動や組み込みが簡単なことが特徴だ。本体の重さは38kgで、両腕を左右に広げた時の長さが162cm、高さが56cm。現状では小型部品の組み立て支援をイメージしているために、アーム1つ当たりの有効荷重は500gとなっている。

 人との共同作業をイメージしているため、骨格は軽量で剛性の高いマグネシウムを採用している他、外形には柔軟物を挟んだ浮遊プラスチックケースを採用し、ぶつかったときに人に影響を与えにくい構造となっている。ハノーバーメッセ会場では、人間の動きをカメラで捉え、協調して動く姿を披露し、人気を集めていた(関連記事:一緒にダンスが踊れる一体感! ロボットと人間が支え合うモノづくりをABBが出展)。

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ABBが出展した人と共同で働くことができる双腕ロボット「YuMi」(クリックで拡大)

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