インダストリー4.0は人間の仕事を奪うのか:ハノーバーメッセ2015 リポート(中編)(3/4 ページ)
ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」。本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する各社の動きを3回にわたってお伝えしている。中編の今回は「ロボットと人間との協調」への取り組みの紹介と、人間の果たすべき役割の変化について考察する。
ワークスペースを共有できる産業用ロボット
ファナックは、ハノーバーメッセ2015の中心製品として安全機能を組み込み人間と協調して作業を行える人間協調ロボット「CR-35iA」を出展した(関連記事:35kgのモノが運べるのに安全! ファナックの“緑”の人間協調ロボ欧州デビュー)。
CR-35iAは同社の人間協調ロボットの欧州でのデビューとなった他、従来は軽量のモノを運ぶ作業しか行えなかったのに対し35kgの有効荷重を実現していることが特徴となる。国際標準であるISO 10218-1を取得している他、さまざまな安全規格認証を受けており、実際に現場で利用できるように仕上げた点が特徴だ。
安全機能としては、ロボットのどこを触っても高感度に接触を検知し、安全にロボットを停止できる「Contact Stop」機能がある他、オペレーターに物理的に押された時に作業を止める「Push to Escape」機能などを備えている。またアーム表面全体に柔らかい素材を使い、人に触れた時に柔らかい感触を与えるとともにぶつかった時の衝撃を抑えることができるようにしているという。
また、同社のロボットは「黄色」をイメージカラーとしたものが中心だったが、新たに展開する協調ロボットには緑色を採用。新たなスタンダードに成長させる狙いを示している。
ドイツのKUKAは、ハノーバーメッセ2015(2015年4月13〜17日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において人間と同じワークスペースで利用できる安全機能を備えた産業用ロボット「LBR iiwa」と、さらに同機に自走機能を加えた「KUKA Mobile Robotics iiwa」の用途提案を行った(関連記事:手の前にまず足を動かす? 自走式ロボットアームで新たな用途を切り開くKUKA)。
LBR iiwaは、最大可搬重量が7kgのモデルと14kgのものが存在し、軸数は7軸、最大作業領域は800〜820mmとなっている。重さは14kgのモデルが29.9kg、7kgのモデルが23.9kgと軽量だ。さらに人が当たった時や触った時にストップする安全機構を採用しており、人と同じ場所での作業が行える。
この軽量さを生かし、可搬部分を組み合わせて移動可能としたものが、「KUKA Mobile Robotics iiwa」で、ハノーバーメッセでは、部品を棚から作業現場に運ぶことを想定し、正しい部品のある棚に移動し、正しい部品を取得し、また移動して戻って来て、正しい場所に置くというようなデモを行った。また、作業現場で人とともに移動しながら、作業するような展示も行っていた。
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